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2017年5月10日号

工作機械展、IT企業が準主役に?

秋のEMO、「ネットワーク化した知的生産」提示

 IBM、マイクロソフト、ヒューレットパッカード…らも前向きに検討している。ドイツのSAPは既に出展を決めた―。ドイツ工作機械工業会(VDW)のヴィルフリート・シェーファー専務理事は、IT企業の名をすらすらと上げて答えた。去る4月、都内で開かれたEMOショーに関する記者会見後の懇親会でのひとコマだ。

 EMOショー(今年9月18日から6日間、独ハノーバー)は、世界を牽引する工作機械の先端技術展として知られる。主催はVDW。今年のEMOには既に1950社を超す出展申し込みがあるが「最終的には前回のEMOハノーバー(13年、2131社が出展)を上回って過去最高の出展数になるのは確実だ」とシェーファー専務理事は強調する。IBM、HPなど巨大IT企業の名を複数挙げた冒頭の発言は、「出展数の増加は、ITやIoT関連メーカーが新規に出るからではないか」といった、弊紙の問いかけのなかで出た。
 今回のEMOショーは、主要テーマとしてデジタルネットワークによる「知的生産システムの統合」にフォーカスする。工作機械の複合機能や生産性、信頼性など「これまでのテーマも非常に大事」としながら、シェーファー専務理事は「今なすべきことは、生産オペレーション全体、さらには完全な付加価値連鎖をネットワーク化することだ」と話す。この方向に向かって、過去に異業種だった企業が参加提案をし、またインダストリー4.0などでイニシアティブをとる産学連携体や、団体による成果事例・研究結果などが次々発表されることになる。知能化し、ネットワーク化する工作機械の次世代像を如実に映しだすものとして、今秋のEMOが注目される。
 もっともEMOだけではない。昨秋のJIMTOF、そしてこの3月に開催された台北国際工作機械見本市(TIMTOS)もテーマの打ち方は似通っていた。TIMTOSでは「インダストリー4.0+、スマート化された生産」をメインテーマにし、インダストリー4.0や自動車・航空宇宙産業に焦点を当て実施したサミットフォーラムでは、シスコ、SICK、シーメンス、KUKAなどのグローバル先進企業の幹部・技術者がプレゼンテーターを務めた。そういう意味でEMOだけが先端を行くわけではないが、EMOを新発表の場として、したたかに準備を進める組織は多いように聞く。
 そうしたなか、うがった見方として、「展示会ビジネスは基本、来場者増→出展者増の好循環を目指す。時代のニーズに支えられ、工作機械などのハードの展示会に、バーチャル系、システム系、解析系などのプレーヤーを加えて展示会を規模拡大させようとの動きが加速しそうだ」の声も混じる。こうしたことも含め、時代のムーブメントを創り上げているのだろう。
 シーメンスグループ(日本法人)が先ごろ都内で行った講演会では、スマート工場の具現化で注目されるドイツ南部・シーメンス「アンベルク工場」がトピックに上がった。CPS(サイバーフィジカルシステム)を柱にして、不良品を出さない高品質なモノづくりを、マスカスタマーゼーション(超多品種)において継続実現する。しかも「生産計画をギリギリまで立てず」、PLCなどは前日までオーダーを受け付け、自ら考える工場が最適稼動し、99.5%の割合で翌日出荷しているという。こうした成果検証もまた、EMOで最新情報が発表されそうだ。
 EMOには、工作機械や関連する機器メーカーなど90社前後の日本企業が出展する。IT世界企業の名前も出揃うなか、日本勢がどれだけ存在を示せるか。「インダストリー4.0」の言葉を生み、その概念と可能性を広げるドイツに対し「4.0的なもので日本が先行する技術は多い」の話も聞く。日本の技術をしっかりアピールすることは、業界の責務ともなる。

 

(写真=日本企業の提案力も試される(前回2013年のハノーバーEMO)

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9〜17面
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