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 今野工業 [金属へら絞り加工] 神奈川県川崎市

納期・コスト追求した絞り技術・究極の多品種少量生産

今野工業 [金属へら絞り加工] 神奈川県川崎市 直径5mmから1.5mまで大小さまざまな、曲面形状に加工した金属部品が散在するなかに、年季の入った自社製のシボリ旋盤や汎用旋盤が10台ほど。CNC自動スピニングマシンは2台並ぶが最新機はない。
 町工場が集まる川崎市高津区の下野毛で部品加工を手がける今野工業(今野タネ子社長、従業員10人)の売りは、手作業に頼る部分の多い「金属へら絞り加工」だ。
 へら絞り加工とは板金加工の一種で、型を旋盤に取り付け、回転させながら金属の板を型に合わせて押し曲げていく加工法。これによってできる部品は、身近なところでは照明器具の反射板や灰皿など。ユニークなところではロケットの先端部分や携帯電話中継基地用のパラボラアンテナなど大型部品がある。型に張り付ける内側部分は、素材そのものの美しさが残り反射板に用いれば、プレス加工では見られない輝きを放つという。

●1個生産もザラ
 納品先はプレス加工・板金加工業者や自動車・カメラメーカーなど。少量多品種生産に対応できるのが最大の強みだと同社取締役の今野辰裕さんは言う。
 「30〜100個生産するケースが多いが、1個だけ作ることもザラ。プレス加工だとしっかりした金型が必要になるが、へら絞り加工では簡易的な金型・木型を用いるので早く安く仕上げられる」
 そのため急を要する新規の注文も多く、毎年20〜30社が入れ替わるも常に約200社との取引があるという。「時代に乗り遅れたような仕事だが、だからこそウチを頼ってくる人も少なくないのでは」と今野さんは笑う。
 簡易型ですむのは、できる部品の善し悪しは「型そのものの精度よりも絞り方による」(同)からだ。技術に対する自信が窺い知れる。

●「硬さ」感じて
 扱う素材はアルミから鉄、ステンレス、真鍮などさまざま。「やってないのは熱処理が必要なチタンだけ」(同)と言うほどだ。ただ、同じ形状、同じサイズのモノを作るにも素材が変われば、自然、絞り方も変わってくる。素材によって「硬さ」や「跳ね返り」がちがうためだ。
 主にNC機を使ってへら絞り加工する今野さんは、入社後の5年間は汎用機を使っていた。この経験があったからこそ材料の「硬さ」を感じられ、ステンレスなど跳ね返りのある素材を扱う際には「逃げをとる(型に角度をつけて対応する)」ことができるのだという。
 課題は手絞りの技術をいかにNC化していくかだ。円錐形状の部品など手絞りでしか加工できない部分もあるが、「部品に求められる精度は次第に高くなっている。ユーザーが求める寸法をだすにはNCが必要」になってきた(同)。精度への対応がへら絞り加工にも今、突きつけられている。
(写真:商店街で使われる照明の反射板など。いずれも一枚板から作ったもので、旋盤ではできないとされる径の3倍以上の深さの加工にも対応する)
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