物流新聞トップへ再考・大地震-住の備えは万全か -9- 2006年10月10日号 ・1143号・12P

第9回「風化した教訓〜11年後の大阪」

大阪府議会 議長 北川 法夫 氏

――――――――――――――――――――――――――――――府民の自己責任●

●啓発を進める――――――――――――――――――――――――――――

11年前、兵庫県南部の市街地、住宅地を一瞬で崩壊させた阪神淡路大震災。その頃、隣県大阪府はどうだったか。 「大阪平野を西南に流れる淀川を境に、世界が全く違った。武庫川、淀川などの河が地震の緩衝帯になったのでしょうね。東にある大阪市街地は、大きな被害がなかった」。大阪府議会議長、北川法夫氏は振り返る。

「友人など親しい関係の人々が震災に遭い、また、その状況をテレビなどで見て、地震のすさまじさを知っても、河から大阪市街地側の生活はほとんど変わらない。その時は、震災に対する備えをしようとする意識は高まったが、時を経た今はどうか。教訓が薄れつつあるのではないか」。備えへの意識の低さを懸念する。 大阪府には上町断層、生駒断層、有馬高槻構造線と、大きな活断層が走る。たとえばもし、上町断層が動きマグニチュード6以上の直下型地震が発生すれば、建物の全壊棟数は36万8500棟(大阪府危機管理室調査)。阪神淡路以上の災害の危険性がある。

「震災以降、危機管理室設置、自衛隊出動要請や食糧・水の備蓄体制、避難所となる公的建物の耐震診断など、備えがされた部分もある。しかし、府庁の耐震化、昭和30年代に多く建てられた木造長屋の改修や火災の緩衝帯となるはずの道路の整備…対策は山積み」 住宅についても、府内の耐震化率は73%と国の平均値より2%低い状況にある。「大阪府住宅・建築物耐震10カ年戦略プラン」を検討するワーキンググループの試算によれば、このペースでは10年後の耐震化率は82%。政府・中央防災会議が自治体に求める90%に到達せず、対策のスピードアップは急務だ。

「まず、啓発の徹底。そして大阪府と市が設ける耐震診断の費用補助制度(戸建で2万5000円)の補助率アップ、改修補助制度創設も議会で訴えていかねばならないだろう。しかし、赤字財政を抱える大阪府がどこまで対策費用をさけるかといえば難しい部分も…」と北川議長は頭を悩ませる。 「府民が自己責任をしっかり意識し、せめて診断を行い危険性を自分で把握してほしい。策定中の10カ年戦略プランでは、リフォーム・耐震改修に関する業者の登録制度創設も盛り込んでいる。安心して備えに臨める枠組み作りから、始めるしかない」と北川議長は言う。