株式会社 無添加住宅
代表取締役 秋田 憲司 氏
兵庫県西宮市下大市西町3−24 TEL0798−52−2255
シックハウスの原因、根こそぎ排除
全国に103の代理店展開、無添加の住環境を広める

「ハウスメーカーに負けない商品作りをするにはどうしたらいいか。自分が他人よりできることは何か」
思い至ったのは、英語とスペイン語での会話力。植物好きが高じて単身、中米を植物採集に回った学生時代に身につけたものだ。この語学力を生かしてムクの床材や鋳物ホーローなど海外の建材を直輸入、社員7名だった当時、年間10棟の注文をとれるようになった。
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転機は99年、一人の化学物質過敏症の患者と出会ったことだ。「どのモデルハウスに入っても、呼吸が苦しくなり5分と中にいられない。折角、土地を手に入れたのに家が建てられない」。患者は化学物質の放散に耐えられず、どうしていいか悩んでいた。当時は、家具や建材から放散されるVOC(揮発性有機化合物)などに反応し、めまい、頭痛などを引き起こすシックハウス症候群の存在もまだ一般に知られていない頃。この患者の場合はさらに病状がひどく、整髪料や香水、スーパーや車の臭いにまで反応し日常生活を普通に過ごせなくなる化学物質過敏症を発症していた。
秋田社長は患者の話を聞き、「僕なら安心して住める家を建てられる」と直感した。というのも、秋田社長の植物好きは学者レベルに達するほどで、植物の生態・分類学に詳しいため。「植物も動物も人間も同じ。病気は原因物質を取り除けば治るはずだ」―ここから、原因物質を完全に排除した「無添加」の家づくりが始まった。
漆喰塗りの内外壁、ムクの構造材や床板、炭化コルクの断熱材、玄昌石を使った屋根材と、部材は100%天然素材。接着剤には動物の皮を茹でて煮出したニカワと米ノリを使用するという徹底ぶりだ。米ノリはいちいち、割り箸でこねて素材の配合を試し、市販のボンドと変わらない強度のものを開発。また防虫効果が高いヒノキはその毒性を考え、床下のみに使用するなど天然素材の毒素も住環境から排除した。
こうして作り上げた「無添加住宅」に住まううち、患者は徐々に回復し、普通の暮らしを取り戻すことができたという。ただ、赤字が200万円。「大手ハウスメーカーと同価格で作ってみせる」と提案したものの、手間がかかりすぎたからだ。
その後、インドネシアの工場に製造を委託し、量産化を実現。さらに、これと思う資材があれば地球の裏まででも即直行して交渉し、直輸入の道を開いた。こうして低コスト化を図った結果、坪60万円〜の価格で「無添加住宅」を提供することに成功し、年間受注棟数は40棟までになった。
シックハウス患者以外からの人気も高い。実際、患者は施主の2割ほどで、他は「健康によくて環境に優しい家」を求める、いわゆるLOHAS層。コストや施主の意向次第で、寝室だけ無添加仕様にすることも少なくないそうだ。
こうしたニーズの高まりを受け、 年には新築とリフォームの販売・施工代理店を展開。現在、大手ゼネコン飛島建設をはじめ全国に103の代理店があり、月間建築棟数約15棟ペースを保つ。今後は年間400棟まで棟数を伸ばす計画だ。
一方、「株式会社無添加住宅」は 年3月から代理店本部機能に特化。注文建築は行わず、代理店への資材・ノウハウの提供と開発をてがけるようになった。収入源は代理店から建築費2%のマージンと部材販売費が主体。「現在の年商は8億円で、数年後に15億円、株式上場を目標にしたい」と秋田社長は言う。
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「無添加住宅」の家づくりは、今後、住宅業界の化学物質規制に大きく影響するかもしれない。秋田社長の仮説は今までの規制動向を大きく覆すものであるからだ。「シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因物質はホルムアルデヒドやアセトアルデヒドではない。防蟻剤やボンドなどの有機溶剤に含まれるVOCではないかとみている。また、これらVOCの一部は分解されず脂肪にたまっていくため、脂肪から栄養分を摂取する胎児にとって、脳の発育を阻害する元凶にもなる」―無添加住宅は、今後、子どもをもつ全ての親にとって必要不可欠のものになる可能性がある。 〔写真説明:家具や内装材、キッチンなどもすべて「無添加」の素材を採用〕
