物流新聞トップへビルダー最前線  2007年2月10日号 ・1150号・12P
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複雑部品加工で一頭地を抜く

再会した腕利き職人―。

鈴和プレシジョン 〔精密切削加工〕 静岡県三島市

工具 鈴和プレシジョン

アルミ(A7075)の板材を30ミリ角サイズの立方体に切り出す。直角度・平行度はともに100分の1以下。ここから複雑な6面加工が始まる。貫通穴、止まり穴を複数の面から入れ、溝を切り、C面を引く。ある一つの穴は、立方体の側面ぎりぎり、数十ミクロンの距離に開けられていて、わずかでも外にずれると内側から破れてしまう。穴のセンターは常に5ミクロン以上狂ってはならない。  …加工しながら径7ミリのメインの穴に、円柱形の7・005のピンゲージ(+5ミクロン)を通す。ちょうど「指圧」に要する力の半分程度で棒が穴の中にぬめっていく。強く押し込んでやっと入るようではNG、逆さにして棒が抜け落ちるようでもNGだそうだ。  ―これが取材時にみた鈴和プレシジョンの仕事風景。詳細は聞けなかったが、チップコンデンサの押し出し用装置に使う部品とのことだった。「こうした複雑部品を、時間勝負で製作するのが私どもの仕事。みんなタイマーを手元に置いて加工しています」と鈴木哲社長が話す。  

熟練工の集団だからこそ

同社はバブル末期の1988年に創業。ほどなく景気は暗くて長いトンネルに入ったわけだが、毎年地道に設備投資を行なって力をつけ、複雑ワークの単品・小ロット加工で乗り切ってきた。
  そんな同社の強みは、熟練技術と最新の機械技術がうまくミックスしていることだろう。
  これには、ちょいといい話がある。鈴木社長は技術に定評のある某ダイカスト金型メーカーに勤務していたが、この会社はバブル期に行なった投資が災いし倒産した。いったん他社に移ったものの、「やり直すなら自分で」と独りで創業した。
  すると、やはり他社で働いていたダイカスト金型メーカー時代の仲間、腕利きの職人らが、一人またひとりと鈴木社長の元に集ったのだそうだ。現在の社員は7名、そのうちかつての同僚が社長含め4人。「だからうちは、技術的に申し分ない人材が揃っています」そう鈴木社長は胸を張る。
  一方、加工機械は計9台で、うち山崎技研のフライス盤が6台を占める。
  山崎技研の機械が多いことについて社長は「同じメーカーで揃えれば加工プログラムを回しやすいというのが一つ。でも、それよりも人の技術を引き出してくれる機械で、Z軸方向に素早く動かせて加工できる点など熟練者に合う。また扱いやすいテーチング機能も重宝している」―という。
  

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  試作部品や複雑単品加工が全体の約6割、「量モノ」も、たまの例外を除けばせいぜい50〜200個程度。「同業他社から持ち込まれることが多い」ほどの難しく手間のかかる加工を適正価格で納めるには「スピーディにこなせる職人の技が欠かせない」。
  が、熟練の技に頼ることは将来不安にもつながる。社長は「若い人が育たないのが正直、悩みです」と打ち明ける。
  「ウチの仕事は一人前に育てるのに3、4年かかる。その間は辛抱してもらいたいけど、もう少し頑張れば、というところで若い人は辞めてしまいますね。昔の現場のように決して厳しいわけでもないのにね」―鈴木社長は苦笑した。自動化をテーマに数物を増やすなど、ゆくゆく仕事内容を軌道修正する必要もあるという。 〔写真説明:仕事は半導体製造装置や液晶、自動車関連の精密部品加工が多い。単品ものが6割だそうだ。〕