物流新聞トップへビルダー最前線 -29- 2007年5月25号 ・1157号・28P
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株式会社 せこ住研

代表取締役社長 世古 欽史 氏
三重県度会郡玉城町蚊野2633 TEL.0596-58-2570

県内のこだわり客が集中

良質の無垢材用いて作る、スローな家

サティスホーム見学会 住宅

 「無垢のいい家を作るなら、ここ」。せこ住研の評判は、地元中心に遠く離れた桑名市あたりにまでも広がる。平均的な坪単価は家具なども含んで約70〜80万円。構造材から床材、キッチン、家具まで良質の無垢材をふんだんに使いながらこの価格は「到底、真似できない」と同業者から驚きの声が挙がるほどだ。
  毎月開催される完成見学会には約100家族が集まるほどの人気。建築棟数も年々増加し、ここ3年間は年間20棟前後を堅持するようになったという。無垢を核に、三重県広域から顧客を引き付けるようになった同社の事例に、地場工務店の活路を探ってみたい。

三重県産ひのきの大黒柱に、北欧から直輸入するパイン床材。せこ住研の家は、ビニールクロスや合板を一切使用せず、良質の無垢材をふんだんに使うのが特徴だ。これが、シックハウス症候群に対する不安や、益々広がる無垢材人気など、時代の空気にぴったりマッチした。
  木材の品質にもこだわりがある。「うちの場合、ローコストといわれる住宅会社の販売価格でも、原価までいかないほど」と世古社長。「山によって材質は全く違う。材木のことを知ってしまうと、ここでコスト削減は考えられない」と言い、良質の材が出ると聞くと、遠くまで足を運びまとめ買いをしてしまう。
 それでも、1棟あたりに良質の構造材200本も使用しつつ、坪単価70〜80万円(家具・キッチンなど含む)の価格は他社が「真似できない」と驚きの声を挙げるほど安価。その秘訣は一括購入にあった。
  同社では毎年、木材商社から20棟分の木材をまとめて買い付ける。購入単位は、トラック一山。無節の木材から特一まで一括で仕入れるため比較的安価に購入できるという。
  欅(けやき)や橡(とち)の広葉樹は木工部の3名の大工が顧客の注文に応じてキッチンやドレッサーなど、オーダーメイドで製造するそうだ。端材も手すりや小物にと余さず使い尽くす。
  倉庫をのぞいてみると、欅や橡など、味わいある形状の無垢材がずらりと積まれている。吟味しながら、「これはテーブルに」「この形はキッチン天板に」と想像するのも楽しいと評判が高く、施主の中には「ハート型の天板の乾燥期間が終わるまで」と、足掛け3年、着工を待つ人もいるほどだという。


 
家まるごと保温の 高い断熱力


  人気のわけの2つ目は「性能の高さ」にある。家の気密性能を表すC値(隙間相当面積)が平均0・3以下でさらに下降中、カナダの世界最高断熱気密基準R2000に対応する屋根断熱性能、スウェーデンのドア・アンダーセンの木製サッシとLOW─Eガラス採用の窓、パッシブソーラーデザイン…。90年代初頭から研究を重ねてきた「自然住宅」へのこだわりは、ここにきて驚くほどの快適性・省エネ性を見せ始めている。
  成果は、同社で昨年から始めた実験住宅のデータをみれば分かりやすい。社員とその家族5人が実際に住む実験住宅の今年1月の平均室内温度は約19・3℃。夕方から深夜まで焚いた薪ストーブ1台のみで、46坪の住宅全体が温まった。朝方から夕方までは暖房しなくても十分な温かさが保たれ、室内温度の下降カーブも極めて緩やかだった。
  また、1月の外気温は平均7℃。深夜にはマイナスにもなったが、家の床下温度は17℃前後と、ほぼ一定で、世古社長は「床暖房がいらない家。気密・断熱性能の高さが、家全体の保温に貢献した」と評する。
  空気環境の向上などを目的に98年からオール電化も標準採用にしており、「これまでの施工例では、月間の光熱費は平均約8000円から1万円。夏場の暑さも、6畳用エアコン1台を2〜3週間ほど稼動すれば十分対応できる」と世古社長は言う。

 

家作りに手間かけ、アフター無しに


家づくりにかける手間ひまでも、他社の追従を許さないだろう。たとえば施工時。「大工がいる時間は、普通の工務店の倍くらいになるんじゃないかな」と世古社長は言う。一つひとつの工程を各担当が丁寧に仕上げるのはもちろん、工程の細部にいたるすべてで自社チェックを行う。
  例えば、下請け業者が担当する基礎工程でも鉄筋間のピッチ、結束箇所の数など、実に細かなチェック項目が設けられており、各工程に責任をもたせるため、あえて第三者機関のチェックを行わない。
  「施主さんから本当に安心して家づくりを任せてもらうには、それしかない」(世古社長)からだ。結果、これまで十数年にわたってクレームはほぼゼロ。「メンテナンスの頻度も極めて低くなる」という。
  顧客満足度向上への努力はさらに進行中で、今、社長が変えていくつもりなのは、木の「色艶」だという。「高温乾燥機の乾燥処理は、黄色やピンク味がかった木材本来の色合いが失われてしまう。現在、室内に表れる太い柱や梁などは自然乾燥が使える準備が整った。これを、すべての構造材に広げていきたい」と世古社長。自然乾燥には相当の手間と場所が必要になるが、実現への意思は固く、その本物を追求してやまない姿勢がこだわり客をさらに引き付けている。