株式会社 飯田ホーム
取締役・専務執行役員 薗田隆章氏
大阪府吹田市垂水町3-19-25、TEL06-4861-4188
阪神淡路級の地震でも、損傷ゼロ
実大実験で強度を証明
飯田ホームは、首都圏を中心に年間4000棟以上(07年4月期)の住宅を供給するパワービルダー・飯田産業のグループ会社で、04年10月より大阪府吹田市で営業を開始した。分譲ビルダー群雄割拠の関西圏でも、徐々に勢力を拡大。07年度4月期は年間供給棟数160棟と前年度比2・7倍に増加、売上高は43億円となった。販売エリアも拡大中で、7月には大阪府高槻市にも新店もオープンし8店舗体制となる。飯田産業の圧倒的資金力、企画力、人材力を最大限に活かし、躍進を続ける同社の「売れる」秘訣に迫った。
今年3月、マンション・戸建で総戸数約500戸となる関西圏最大のオール電化分譲住宅地計画が大阪府下、JR和泉府中駅から徒歩約10分という好立地でスタートした。ここに飯田ホームも参加し、「ECOスマートタウン」の名称で126戸の売建分譲を始めている。関西進出から約2年半、2?10戸の小区画建売分譲で急成長してきた飯田ホームが初めて手がける大規模分譲計画は、関西の住宅市場で最も注目を集めるトピックスの一つだ。
販売委託先の1社、日の出建設によると「安心」に評価が高く、出足は好調。「地震に強く性能表示制度を全戸導入している飯田ホームの家がもたらす『安心』と、オール電化による火災のない『安心』。関電SOSによるタウンセキュリティシステムの『安心』。これらが大きな相乗効果を発揮し、販売力強化につながっている」そうだ。
そもそも飯田ホームの親会社である飯田産業は、分譲ビルダーの中で最も早く全棟性能表示制度を導入したという経緯がある。耐震、耐風、劣化対策、維持管理、ホルムアルデヒド放散の6項目で最高等級取得を達成しており、「『建てている最中の状況が見えないので、品質がわかりにくい』という消費者の不安が払拭された」(飯田ホーム・取締役専務執行役員の薗田隆章氏)ことが、業績アップを導いてきた。
こうした性能強化による部材コストアップなどは、年間4000棟以上のスケールメリットで吸収。土地込みの平均価格は和泉府中の場合で、約2880?3180万円と安価かつ高品質の住宅供給を実現し、一時取得層を中心に人気を集めている。
中でも耐震に関しては、非常に評価が高い。飯田産業が独自に開発したIDS工法は、独立行政法人土木研究所で実大実験を行っており、「阪神淡路大震災の地震波を加えても、IDS工法の家の損傷はゼロ。一方、同じ地震波を加えた一般木造住宅(建築基準法適合・性能表示制度の耐震等級は1)では、階をつなぐ通し柱が折れ、倒壊してしまった」(薗田専務)。さらにIDS工法の家に、ロサンゼルス地震、新潟県中越地震、関東地震(想定、マグニチュード7・9)の地震波を加えても、損傷なし。強度に対する自信を確かにし、「阪神淡路大震災を経験した関西地域ならば、より反応が大きいだろう」(同)とみていた。
ただ、分譲市場ではまだまだ立地、価格、デザインで商品を選ぶ傾向が強く、「性能が差別化要因にはなりきれていない。だが、耐震偽装問題以降、追い風を感じている」(同)。住宅の品質や安全性確保に対する世論の高まりや建築関連法の改正などにより行政の審査も厳しくなってきたためで、「販売をアウトソーシングしている不動産事業者の間で、品質に対する評価が高まれば、当社の家を選んで下さる消費者がより増えるはず」と、自信を強めている。
●独自の昇格システムを導入
販売はアウトソーシング。これにより販売管理経費と広告費を売上高の約3・0%以下に抑えつつ、幅広い層の消費者へのアピールを可能にしている。
自社営業社員は土地の仕入れと分譲企画を担当しているのだが、その能力アップのペースがここ最近、著しい。薗田専務によれば、「営業マン1人あたりの売上高は昨年の倍額にもなる」そうだ。
ポイントは、分譲商品の売上に応じて昇格するというシステムをより明確化した事にある。売上に応じて仕入・企画した担当者の評価が上がり、賞与・昇給に反映されるというもので、「モチベーションアップに役立っている。用地取得競争が激化する中で、この効果は大きい」(同)。
こうしたモチベーションアップを薗田専務は「事業の要」と位置づける。「もちろん、名誉・金銭的なモチベーションだけを重視しているわけではありません。基本は、この仕事を好きになること」
「皆に、ここは『建売の学校』だと言っているんです。ニーズや金額の基本調査から、土地の仕入れ、企画、行政との折衝など、建売にまつわることをすべて、身につけられるのですから。地図の中に自分の作った『街』が残る。これはたまらない面白さです。それに良い企画ができればお客様に喜んで頂ける喜び、また不動産業者さんとのつながりが深まり、人という一生残る財産ができる」(同)。実際、不動産業者を経て同社に入社した人の多くが、建売の面白さに夢中になるという。
今後の展開について聞くと、まずは関西圏に地域に密着した少人数店舗の出店によるエリア拡大を急務とし「再来年の東証、もしくは大商一部上場を見据えている。棟数の目標は今期が500棟、来期が900棟」(同)。また、一次取得層向け建売分譲戸建を主力としつつ、買い替え層の需要獲得、土地のみ分譲、土地付注文建築などにも力をいれていき少子化・高齢化対策を見据えた事業の多様化を目指したいという。
