「プレステージ」
米 2007年 クリストファー・ノーラン監督
マジック映画で思い出した「直流VS交流」
大好きな「マジック、トリック、イリュージョン」の世界を、19世紀ロンドンを舞台に描いた映画『プレステージ』(2007年クリストファー・ノーラン監督)が公開されている。天才マジシャンが舞台裏の水槽で死亡するが、逮捕されたのは修行時代からのライバル。事故死か冤罪か…。ストーリーがスリリングに展開する。美術・撮影も素晴らしく、更にステージ上の信憑性を高めるため世界一のマジシャンと評されるデビッド・カッパーフィールドが監修したお薦めの作品。
トリックを演出する機械装置として、「交流電磁誘導機」が実在の発明家ニコラ・テラスと共に登場する。
テラスは1856年クロアチアで生まれ1884年アメリカに渡り、かのエジソンに弟子入りする。しかし当時のエジソンは直流電流による電気の特許を得て事業展開しており、テラスが推奨する交流電流と対立。米国で有名な電流戦争が起きた。
テラスは交流を、直流より効率的で安全、経済性に優れていると提唱、ウェスティングハウス社(WH社)の支援を得て事業化を進める。
交流の勝利が決定付けられたのは1893年、シカゴで開催された博覧会に「エジソンとGE社」サイドが100万ドルで電気供給することに対し、「テスラとWH社」サイドはその半額で提供し採用されたこと。交流方式が世界中に利用される契機となった。
ところで、この当時の米国の周波数は60?。アメリカ好きの日本としては本周波数に統一してもよさそうであるが、東日本と西日本では相違する。何故か調べてみた。
関東では1895年に現在の東京電力が創業開始するが、輸入した発電機がドイツ製であり50?。関西では現在の関西電力がアメリカGE社から輸入し60?であり現在に至っている。グローバルスタンダードが叫ばれる時世なのに、狭い日本で統一されそうな動きは無い。長崎から東京へ転勤した折、レコード盤の回転数調整をしたことが懐かしい。
さて、テラスとエジソンは1915年ノーベル物理学賞受賞候補となるが、互いに同時受賞を嫌い拒否したエピソードがある。両雄並び立たず、だ。
米国電気学会は磁束密度の単位をテラスと呼称すると共に、1975年、ニコラ・テラス賞を設け栄誉を称えている。テラスが残した数トンにおよぶ発明品・設計図は、FBIが没収し秘密裏に役立てたとの伝説が語り継がれている。
