株式会社 ハウ・ツゥ・ライブ
代表取締役 峯 誠 氏
奈良県奈良市神功4-1-4、TEL0742-71-5107
「自然素材の家を坪38万円で」に成功
子育て世代に支持され、地元シェア確保
坪単価38万円で自然素材にこだわった住宅を提供し、子育て世代に大きな反響を得ている「ハウ・ツゥ・ライブ」。約5年半の歳月をかけ、最良の素材確保と価格交渉に成功した背景には社長自身のシックハウス体験があったという。昨年度は、おおむね徒歩30分圏内に18棟を供給。従業員8名規模の工務店でこの高シェアを達成した秘訣に迫った。
奈良の閑静な住宅街に、ぽつんと佇む雑貨店? 輸入雑貨小物やカーテンなどが並べられたこの店は、工務店「ハウ・ツゥ・ライブ」の事務所でもある。「誰でも気軽に入ってリフォームや新築の相談をしていってほしい」という峯社長の願いどおり、ぶらりと訪れたことがきっかけで同社の家づくりを知った顧客も多いという。
同社は平成元年、リフォーム会社として創業。4年前から新築に切り換えた。そこには峯誠社長の「自然素材の住宅を坪38万円で建てる。できなければ新築には参入しない」という並々ならぬ決意があった。
さかのぼれば15年前。峯社長は新築した自宅で身体中にかゆみを感じはじめる。シックハウスの症状だった。「今でも自宅に戻るとかゆみがある」ほどで、この苦しさが自然素材の家作りを決意させた。が、自然素材の家は坪60万円以上するものが大半。「子育て世代でもなんとか買える坪38万円以下で提供できなければ、自然素材の家がただのぜいたく品になる」と憤りを感
じた。
ここから徹底した素材選びと産地での価格交渉が始まるが、最初はどこの業者にも「何を夢みたいな話をしてるんや」と相手にしてもらえない。それでも何度も足を運び、自然素材の家づくりにかける思い、潜在市場の大きさを訴え続
けた。
ようやく耳を傾けてくれたのが、紀州ひのきを扱う材木業者。最初は「見栄えの劣る2級品なら…」と渋々だったが、峯社長の熱弁を聞くにつれ、1級品での取り扱いだけでなく、同じ思いを持つ工務店と共同で大量仕入れを行う「紀州ひのきの会」を組織してくれるまでに至った。現在、加盟は京阪神12社の工務店。これにより「3割以上ものコストダウンが可能になった」(峯社長)。
そのほか、防蟻処理として床下と基礎に国土交通省認定の天然素材液状木炭を採用。不燃素材の木質外壁材、メンテナンスが軽減される火山灰を原料とする外壁材、漆喰、床板などすべて、揮発性化学物質を放散しない建材にこだわり、その全てを産直で安価に仕入れるべく、交渉に奔走した。
要した歳月は5年半。「シックハウスの苦しさを知っていなければ、途中であきらめていたでしょうね」(峯社長)。 現在、同社がてがける家のうち、床剛性補強のための構造用合板以外はほぼ、天然素材。顧客からは、「木の香りが心地よい」「アトピーの症状がやわらいだ」の声が聞こえる。さらに同社では壁を極力なくした開放的空間作りが得意だが、その空間を支える太い梁と、無垢の床材が思いがけぬ蓄熱効果も発揮し、「夏でもエアコン1台で十分」(社長)の快適性をもたらした。
また、大工たちも良質なひのき材を使った家づくりに、工業化住宅とは違う大きなやりがいを感じているそうで、意識の高さがほとんどクレームのない高品質施工を可能にしているという。
●現場見学会に毎回50組参加
同社の年間建築棟数は約18棟と小規模だが、ほぼ全てが徒歩30分圏内。地域でのシェアは同規模の工務店では類を見ないほど高い。ここに、自然素材・坪38万円住宅のニーズの大きさがみてとれるだろう。
莫大な経費がかかるモデルハウスは持たず、施工した家ほぼすべてで完成見学会を開催するが、展示会は毎回盛況で平均して約50組もの見学者が殺到するとか。その理由は、物件ごとに約30回にも上る綿密な打ち合わせを行い、顧客の要望を100%叶える提案を重ねてきたから。玄関とLDKのしきりに巨大な水槽を設置した家、同社製オーダーキッチンや洗面化粧台のある家など見学会でみられるそれぞれのこだわりが、見学者にとっては自分たちの家づくりを夢見させる楽しい迷いになる。
また、釘1本まで大工に支給しつつ施工もれがないようチェックするなど、「緻密すぎるといわれるほど」(社長)の施工体制強化により、若手大工の育成にも成功。今後は「年間50棟を目指して施工エリアを拡大する一方で、あと5万円のコストダウンや新工法開発にも挑戦したい」と、社長は積極的な展開を目指す意向を話した。
