物流新聞トップへビルダー最前線 -39- 2007年11月10日号 ・1168・12P
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株式会社 安成工務店

代表取締役 日置尚文氏
下関市綾羅木新町3?7?1、TEL0832?52?2419

企画開発型、新時代の建設業へ

最先端技術と試み、エコタウンに結集

 OMソーラー導入から始まった安成工務店の環境共生の取り組みは、地域産材の活用による林業活性化、古紙リサイクル断熱材・セルロースファイバーの全戸採用と工法開発メーカー「デコス」設立に進み、「山口県菊川町の高い資源リサイクル意識を活かし、地域の活性化を図る」ことを目指して古紙リサイクルシステムと地域通貨発行までを行うNPO法人「e小日本きくがわ」設立、そして環境共生型分譲住宅地「安岡エコタウン」開発にまで至った。前回に引き続き、環境共生・地域循環のリーダーとして注目される安成工務店の事例を紹介する。

 

 安成工務店の約20年にわたる環境共生・地域循環の取り組みの集大成が、全39区画の環境共生型分譲住宅地「安岡エコタウン」だと安成社長は位置づける。
  安岡エコタウンには、太陽熱を利用するOMソーラーシステム導入、雨水利用タンク設置、資源ごみリサイクル推進、地域産材の活用による地域林産地の活性化…枚挙に暇が無いほど環境共生の仕組みがあふれている。
  また敷地内の一角には住民、同社顧客に無料で貸し出しする「えこ畑」を設置した。これは長崎のNPO法人「大地といのちの会」の吉田俊道会長との出会いから、同社が始めた家庭からの生ゴミを還元して作る無農薬・無化学肥料の野菜作り活動で、「環境共生と健康な生活を食の面からも提案する」(安成社長)のが目的だ。
  野菜作りを通じた顧客同士のコミュニティ形成も目指しているのだが、「より重要だと感じているのは子どもたちの食育」と安成社長は言う。「食べ残した生ゴミを土に返し、それが新しい野菜になり自分の口に入るという『いのちの循環』を、子どもたちが感じられるきっかけにもしてほしい」。崩壊が危惧される地域コミュニティの再形成とともに社会問題化する子どもたちへの心の教育不足に向け、工務店ができる新たな役割を提案した。
  さらに同エコタウンで昨年度から始まった木質ペレットによる地域集中冷暖房・給湯システムの実証実験も、日本初の事業として全国から注目を集めている。これはNEDOが木質バイオマス活用を推進する山口県に委託し、安成工務店に一部再委託された事業。戸建13戸、集合住宅8戸の給湯、暖房、冷房のための温水(夏は冷水)供給を集中ボイラーで行うシステムを導入し、現在、成果を計測中だ。
  燃料となるペレットは、県内の間伐材・未利用材を再利用して山口県森林組合連合会が製造する。そのため全国の林産地自立と山林保全、再生可能エネルギー利用比率の増加に向けたモデルとしても事業成功への期待が高まっており、「今後2年間で製造や運搬などのコストをいかに削減できるかに取り組んでいるところ」(山口県)。また岐阜県立森林文化アカデミー、熊崎實学長からは「地域集中型ボイラーによるペレット暖房システムは戸別にボイラーを設置する場合に比べてイニシャルコストも低く、CO2削減効果も高い。ペレット活用が進む欧州でも多く取り入れられている理想的システム」と評され、専門家からの期待も大きいようだ。

■環境共生、さらなる進化へ

安成工務店が他に類を見ないほど強力に、環境共生・地域循環型社会の形成を求め続ける背景には、「儲けるかどうかではなく、本当に地域に必要とされるオンリーワンの家づくりがしたい」という安成社長の思いがあった。
  「国や地域行政から『受託』するのではなく、同じ方向を向いて、協力し合いながら研究できることに大きな誇りと喜びを感じます。こうした思想は、顧客との関係でも同じ。同じ目的に向け模索するパートナーであることが、本当にいい家、いい地域環境を創出するには重要なことではないでしょうか」(安成社長)。こうした思想、先進的な取り組みを情報誌やエリア事業所で発信し続け、ファン層を増やし、環境に敏感な顧客層が同社に集まる好循環も生まれている。
  今後について尋ねると「関連グループ5社の相乗効果を発揮し、企画開発型の新しい時代の建設業を模索したい」と安成社長。ここでも重要視するのは「環境共生」で、すでにイニシャルコストを抑えつつCO2削減効果がより高い家づくりの構想があるそうだ。
  地域的に強化を図りたいとするのは福岡県。周辺地域をあわせた人口200万人になる地域圏で、「環境共生」を大きな戦略ツールとして生かす事業展開を行いたいと言い、また、日本の実情に合わせた持続可能な森林管理システム「SGEC森林認証システム」を申請するなどさらなる環境性能向上を追求し続けている。