物流新聞トップへビルダー最前線 -40- 2007年12月10日号 ・1170・12P
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株式会社 ウィル不動産販売

代表取締役 岡本 俊人 氏
兵庫県宝塚市逆瀬川1-14-6、TEL0797-74-7272

エリア密着、生の声から需要を探る

新築とストック、最適の解を提案

 関西圏で人気の住宅地、阪神間・北摂地域に7支店を構える「ウィル不動産販売」。同社では戸建・マンションの分譲から不動産仲介、リフォーム、リノベーションなど、各顧客のライフスタイルに最も適した提案を行う「ワンストップサービス」により、顧客満足度を最大限に高めてきた。その結果、05年に32億円強だったグループ売上高を、06年には約8割増加させ58億円まで成長させた。満を持して、07年2月にはJASDAQ上場を達成。不動産業界の既成概念にとらわれない「日本一の総合サービス企業]を目指す岡本社長の夢が大きく動き出している。

 ウィル不動産販売では、阪神間・北摂に集中して出店する7支店から上ってくる生の情報が、分譲企画の宝になる。支店で行う不動産流通事業の中で、そこに住まう人、住みたいと考える人の要望を具(つぶさ)に知ることができるため、「各エリアに応じたきめ細かな提案が可能になる」と岡本社長は言う。
  たとえばある街では、潜在的な顧客に個人事業主が多かった。そこで企画したのが3〜4台の駐車スペースがある3階建て戸建分譲住宅地。「自家用車や社用車を複数台停めたい」「倉庫がほしい」というニーズに応えたことで、相場より高かったにもかかわらず即、完売した。
  現在販売中の兵庫県川西市の分譲住宅で打ち出したのは「一点豪華主義」だ。外壁にテラコッタ調タイルを使用して高級感を演出し主婦層の心をつかみつつ、徹底した無駄を排除してコストダウンに挑み、2700万円台からという低価格帯での供給を実現。さらに、バイクを屋内でいじれるインナーガレージと多目的に楽しめるロフトを設けるなど、今どきの購買意欲上昇ポイントをしっかり捉え、わずか1カ月で3分の2が契約にいたった。
  こうした立地とターゲット層を絞り込んだ新築分譲企画を打ち出す一方で、暮らしに徹底してこだわる層のニーズには「中古住宅購入+リフォーム」の提案で応える。「豊富な不動産情報を駆使し、立地、管理規約などその人に合ったリフォームが行える物件を探す段階からファイナンスに至るまで、一つの窓口で応えられる」(社長)のが強みだ。「主な顧客は若い世代。中古住宅購入の長期ローンにリフォーム費用を組み込むことができるので、月ごとの支払い負担を軽くしつつ、最もお客様の夢に近い家づくりができる」と、岡本社長は自信を覗かせる。
  リフォーム施工事例集には猫と楽しく暮らせる工夫が凝らされたマンション、素材感にこだわった一戸建て、景色を一望できるお風呂があるマンション…子会社である「ウィル空間デザイン」が手がけたプロの空間提案事例がふんだんに並ぶ。実績は4人体制で、売上高4億円弱。1人あたりの売上高は業界トップクラスの実績で「来期はトップ営業マンで2億円を目指している」(同)ほどだ。
  昨年から始めたリノベーション事業にも注目が集まっている。ホテルのロビーを思わせる斬新なデザインのエントランス、蛍が自生する中庭のある元社宅など、特徴あふれる企画を提案しつつ、「新築並み、もしくはそれ以上の付加価値を高めた物件が新築の7〜8割の価格で取得できる」ことで、他社が目を見張るほどのスピード販売を可能にした。
  こうした新築とストック戦略を両輪で進めることで「地価に左右されない経営」が可能になる。岡本社長は「地価下落局面にあっては中小規模開発に絞り在庫期間を短縮することで価格下落リスクを抑える。現在のような、地価上昇局面にあっては、一次取得層の住宅購入が困難になるが、好立地・好環境の中古物件をリフォーム・リノベーション提案することで、高い需要が確保できる」と言う。

強みは「人財」
住宅

こうした戦略上のポイントを話しつつ、「本当の強みは人」と岡本社長は強調し、15年前の創業以来、人材育成に最も注力してきたと言う。中途採用が一般的な不動産業界で、あえて創業2年目から新卒採用に踏み切ったのは、「顧客ニーズを最大限の満足に近づける要は人にある」と確信していたからだ。
  「創業メンバーの6名は自分の仕事に対する責任を果たしながら、社会人一年生の指導も兼任する日々。『多分、10年くらい苦労するだろう』と思っていたら、本当に10年、利益が思うようにでませんでした(笑)。億単位の利益が出るようになったのは1期生が30歳を超えるようになった4年前」と岡本社長は振り返る。ただ、粘り強い努力が実り、現在ではプランニングから広告企画、販売と自社グループの人財力を活かせる効率化を達成。売上高経常利益率は約7%強(06年12月期)まで伸びた。また、従業員の平均年齢は27歳。若い感性の提案は、購入者の多くを占める一次取得層の感覚にぴったりマッチする。
  育成効果も高く、営業MVPになるのは入社2〜3年目の社員だ。「チームのトップはメインの仕事をもたないんです。部下の報告に対して逐一指示を出し、上司が動いたのと同じ結果をだす効果があります」と岡本社長。徹底したコーチングが、戦力となる人材を最速で育てるのだという。
  今後の目標については、「小エリア集中出店により地域でのブランド力を高めつつ、地価が上昇する今、大規模分譲も企画していきます」と岡本社長。2010年を目処に阪神・北摂での地盤を固めた後には、「日本一の総合サービス企業」を実現すべく、東京進出も視野にある。