物流新聞トップへ挑む!加工現場 -50- 2008年01月25日号 ・1172・28P
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 「ロスト・ワールド」

 

1925年 米国ハリー・O・ホイト監督

 時空を越えた技術の伝承

 

三十郎は映画館・博物館・美術館が大好きである。良い作品を見ると良い仕事に繋がるからであり、作り手の精神、創作意欲が伝わってワクワク駆り立てられる気になる。
  この「気」こそが、技術の伝承に一役買うのではないか。
  「風神・雷神」を描写した屏風図は多くあるが代表的な3作品を見比べると興味深い。京都・建仁寺には江戸初期に描かれた俵屋宗達の作がある。この屏風図から約100年後の江戸中期には、本作品に倣いほぼ同寸で模倣・創造制作された尾形光琳の屏風図(東京国立博物館所蔵)がある。さらに再び約100年を経て、江戸末期には同様に倣い制作された酒井抱一の屏風図(出光美術館所蔵)がある。それぞれの風神図の顔をみると宗達は仏像似、光琳は威厳化、抱一作は戯画化されている印象だった。
  この三者には明確な師弟関係が無い。にもかかわらず先人が残した芸術作品に出逢い、感銘を受け後世に語り継いでいる。
技術の伝承は三十郎の大好きな映画の世界にもある。1925年、英国の文豪コナンドイルの原作を映像化した『ロスト・ワールド』。特殊撮影担当はウィリス・オブライエンであり、人形とストップモーション画像を用いて太古の恐竜の世界を創り上げた。
  その製作技術を伝承したのはオブライエンの弟子、レイ・ハリーハウゼン。彼は1958年「シンドバッド七回目の航海」でアニメーションと実写を合成させた画像を製作した。骸骨と人が戦うリアルな画面を見たときは驚きであった。
  さらに1925年のロスト・ワールドは、1997年にスティーブン・スピルバーグの手でジュラシックパーク第2作としてリメイクされた。
  まだある。1933年のキングコングは1976年と2005年にリメイクされたうえ、日本にも伝承された。1954年の東宝作品「ゴジラ」(特殊撮影は円谷英二)が技術を継いでいるほか、更に1962年には東宝創立30周年記念として「キングコング対ゴジラ」が製作された。日米の怪獣王の戦いは三十郎の脳裏に強く残っている。そして日本のゴジラは1998年、海を渡りハリウッド作品として映像化された。「GODZILLA」(ローランド・エメリッヒ監督)である。
  まさに時空を超え技術が伝承されている。
  モノづくりの世界でも技術の伝承が重要視され、企業では熟練講師による技能伝授がされている。上手く伝承され、100年後に進化形として具現化されることを信じたい。