物流新聞トップへビルダー最前線 -43- 2008年02月10日号 ・1173・12P

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相羽建設株式会社 

常務取締役 迎 川 利 夫 氏
東京都東村山市本町2-22-11、TEL042-395-4181

空気や熱をもデザイン

OMソーラーと微気候、 SI…Aiba流を追求

 

住宅 相羽建設

安くはできない、一般ウケも難しい、事業としての成功例も少ない。しかし心地よく住み続けられる家を、暖かな街を創っていきたい…。

そんな「現実と理想」の狭間に立って、敢えて理想を追うと決めたのが東京多摩地域をエリアとする相羽建設だ。

妥協せず、また落としどころを探るようなこともなく、淡々と「理想の家」を追いつづけた結果、「相羽」の名が業界で知られるようになってきた。

小さくてまた派手さもないが、存在感をにじませる同社の住宅づくり。それがエコロジーを求める時代のなかでキラリと光る―。

 

 

住宅の社会的意義とは…話はそんなテーマからスタートした。

が、決して堅苦しいものでもない。住み続けられる家、地域に暖かさを与えられる家、自然とともにある家、地元の人・資源を活用して作る家…そうした住まい を作ることに意義を見出すべきというわけだ。問題は「この当たり前のことをやっていたのでは、事業として成功しにくい状況になってしまった」(迎川利夫常 務)点だとする。

同社が、個人企業からスタートし(1971年)、現社名の株式会社に改組したのが20年前と少し。

その頃から同社は、自然エネルギーを自然のままに受け入れるOMソーラーに関心を寄せ、やがて太陽熱や涼風といった自然の快適さを住宅に取り込むパッシブ システムにこだわりだした。さらに微気候(住宅の周辺に局地的に現れる気候)の活用に傾注、樹木がもたらす温度の上昇緩和などに目を向け、分譲地ではまず 造成地の一角や各戸の庭に大木の苗を植樹するほどとなった。

「いや植樹は、微気候とともに昔あった鎮守の森をイメージさせる、懐かしくて帰っていきたくなる場も作っておきたいということもあるんです。安心させてくれるものが常にあれば、そこはよい街になるんです」そう迎川氏は静かに付け加えた。

一つの完成形が、OM研究所(当時)とのタイアップで完成させた約5年前のソーラータウン建設(東村山市・19戸)だった。当時は「3年かけて売ろう」という、回転率重視の分譲ビルダーが聞けば唖然としそうな計画だったらしい。

「OM ソーラーを搭載し、材を選び、自然素材をふんだんに使って…また風通しをよくするため庭の面積を広げ緑地を作る。どうしても周囲の住宅より 800〜1000万円高くなるんです。やはり買い手なんてそうそう現れないですよ」。確かにすぐには売れなかったが、この家でなければという相手がひと家 族、またひと家族と現れ、完売したそうだ。

「なまらせて」拡げたい

近年の実績は注文を中心に年50棟前後。その9割近くがOMソーラーを柱にした「Aibaスタイル」の家だ。しかも独自のスタイルは今なお進化を続けている。OMソーラーを補うものとしてエアコンを床下に設置しての床冷暖システムなどにもトライする。

長 く住み続けられる―のテーマを追ったのものにスケルトン&インフィル仕様の「木造ドミノ住宅」がある。床、柱、階段をベースに開口部を広く取るフランスの 建築家ル・コルビュジェのドミノシステムを取り入れたもので、基本的には耐震、断熱、防音、安全といった構造体(スケルトン)としての性能を重視しつつ、 内装(インフィル)は体育館のような床だけの状態にしておく。仕切りや設備は後から自由に設置するのだ。家族の数や暮らし方によって柔軟に変化する内部は 「売却時も、買い方の希望にあわせて間取りを組めるから資産価値は高いはず」。長持ちより、本当に長く使える家であることが大事なんですと迎川氏は強調し た。「電気系統のケーブルは40年前後で寿命だから配線を簡単に取りかえられるようにもしています」など、長く住むための配慮は細かなところまで実に多 い。

同社の思想を十分に表す住宅は確かに割高感が拭えない。しかし東京都が行なった「良質で安い住宅の普及」を目指すまちづくりプロジェクトでは、同社を中心 とするグループが「木造ドミノ住宅」の低価格化を手中にした。「職人単価を減らさず工数を減らす」、「2戸ずつ作って作業効率を高める」などの取り組みを 活かした。今後は、この手法を少数分譲住宅、注文住宅にも活用していきたいとする。

木造ドミノ住宅は昨年末、エコビルド大賞にも選ばれた。同社への評価と関心が高まるなか、同社では「木造ドミノ住宅」の思想を全国に広げようとの取組みもスタートさせる。

迎川常務は「今月中にも木造ドミノのネットワークの旗揚げを発表予定です。もっとも木造ドミノをそのまま全国に普及させるのではなく、地域にあった、そう 方言のように『なまらせて』拡げられればと思います」と言い、「地域に根付く工務店が、地域にあった良質の住宅を作る時代に入っていくべき。最近の業界は 法に触れなければ何をやってもいいという風潮ですが、住宅づくりは決してコンプライアンスでなくコモンセンス(良識)ですよ」そう最後にメッセージを添えた。