物流新聞トップへビルダー最前線 -45- 2008年05月10日号 ・1179・12P

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株式会社 創建 

代表取締役 吉村 孝文 氏
大阪市中央区淡路町3-5-13、06-6221-0001

「200年住宅」目指す、分譲ビルダー

外断熱、診断書整備など品質確保に注力

 

住宅 創建

新築住宅着工100万戸以下の時代を目前に控え、業界全体が需要ボリュームの大幅減に戦々恐々。そんな中、分譲ビルダー・創建の吉村社長は「需要は減ってもいい。本当に質の高い住宅を供給し、良質な業者だけが残る時代になる。望むところだ」と気を吐く。バックボーンを支えるのは、「気密断熱性を極め、高品質な躯体を作ることこそ究極のエコ」(吉村社長)という基本姿勢で、視野の先には、国が推進する超長期住宅政策「200年住宅認定」もしっかり据えられているようだ。

昭和58年創業の「創建」は大阪市内に本拠地を構え、東京、名古屋に支店を進出、関西圏を中心に年間445棟(07年度戸建住宅実績)を供給する急成長中の建売型分譲ビルダー。その成長の過程を聞く中、吉村社長は一貫して「住宅の質」を説いた。まずは、同社独自の外断熱工法「Kurumu(来夢)」。標準仕様はC値0・7、Q値は2・7以下(※)。国が定める次世代省エネ基準(温暖地はC=5・0、Q=2・7以下)をはるかに上回る性能を持ち、ときにC値は0・3以下になることも少なくないという。

なぜ、高気密・高断熱を追うのか。始まりは4年前。当時、債権処理会社だった小林住宅産業をグループ傘下に入れるかどうかを見極めるため、吉村社長自身が同社幹部に面会したことだったという。「通されたのは外断熱のモデルハウス。しかも、屋根裏しかじっくり話せる場所がなかったのですが、8月半ばで暑さ真っ盛りの時期でしょう。いくら冷房を効かせたところで10人の男が狭い部屋に集まれば、暑くてたまらなくなるだろうと思っていました」

だが予想を裏切り、寒くて冷房を切るほどに冷えた。「いったい、この家はどうなっているんだ?」。小林住宅に聞くと、「だから、これが外断熱だと先ほどからご説明しているのですが…」。効果を実感し、初めて精度を極めた外断熱の威力に気がついたそうだ。

「冬は空調一台で冬布団がいらないほど温かく、室内上下や部屋間の温度差がほとんどないのでヒートショックによる脳梗塞・心臓麻痺など、お年寄りに多い室内事故も起こらない」「光熱費にして約53%の削減効果(クルム仕様での東京理科大学試算)。気密バッチリの窓を採用しているため部屋の中に車の騒音が全く聞こえないし、換気フィルターの捕集効果も高く、家の中に入れば花粉症の症状も20〜30分ほどでおさまってしまう」。外断熱の省エネ・健康メリットに驚いた。 耐久性の高さにも注目したという。レベルを上げた外断熱工法の場合、壁体内結露、腐朽菌の繁殖はゼロ。躯体を長期にわたって安全に維持できるからだ。

ただ、小林住宅によれば「外断熱工法によるコストアップは40坪で500万」にも。そこを、「精度を高めた外断熱こそ、長期にわたって使用できるこれから求められる住宅」(吉村社長)の説得を重ねることでメーカー協力を得、さらに自社施工によるコストダウンで、「クルム」の性能を確保しつつ、40坪で150万円アップにまでおさえた。

こうしたトップクラスの性能確保の取り組みは、昨春、りそな銀行との提携住宅ローンで店頭金利より最大1・4%減という他社に類を見ない優遇制度実施をも可能にした。これにより「返済総額最大1300万円軽減」という消費者メリットも創出、業界中を驚かせている。

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住宅 創建

吉村社長は施工精度の充実にもこだわる。「施工技術が十分でなければ魔法瓶の蓋が空いているのと同じ。外断熱のメリットが得られない」からだ。同社では全棟で施工後の気密測定を行うほか、基礎から竣工にわたってJIOと自社ダブルのチェックを実施。「棟数で月に45棟が限界。これ以上のボリュームアップは施工者・監理者の育成を終えてから」を守るという。社長に直接連絡できる「社長直通110番」も設けた。これが現場によい意味での緊張感を走らせ、営業・施工のレベルアップに役立っているそうだ。

また、同社では施工中全ての過程で写真記録を残し、引渡し時には施主にアルバムを進呈。施工後10年もしくは15年後には、LDと洋室の間取り変更と壁や床の張替えリフォームを無料で行うサービスも実施する。ライフスタイルの変化に応じた可変性に加え、その改修工程全てで、履歴書を残すことが「長期耐用」に不可欠とみたからだ。こうした「可変性への対応」「長期耐用」「履歴整備」の点は、国が推進する「200年住宅」の認定要件にも合致し、同社では認定取得の動きを強めている。

可変性という点で、最近ではSI(スケルトン・インフィル)の分譲プラン「Custom Kurumu(カスタムクルム)」もスタートしている。分譲時に構造体のみ建築、その後、コーディネーターを交えたカウンセリングにより顧客ニーズに応じた間仕切り、設備の選択を行うというもので、「最もバーゲニングパワーを活かし大きなコストメリットをもたらせる建売分譲というスタイルで、居住当初はもちろん数十年後のライフスタイル変化に応じられる住まいを提供し、顧客満足度を高める」(吉村社長)のが狙いだ。

「引き渡したら終わりという、この業界の常識がおかしい。環境を本当に大事にするのなら、長持ちする住宅を作り、アフターを充実させていくことが一番」と吉村社長は強調する。分譲タウンを作る際にもその精神が表れており、年に2回、住民向けイベントを主催するなどコミュニティの強化にも力を入れ、「長期にわたり住みよく安全な町づくり」を推進しているそうだ。
(※)C値=気密性を表す1uあたり相当の隙間面積、Q値=断熱性を表す熱損失係数。双方とも値が小さいほど、性能が高いことを表す。