「モダン・タイムス」
1936年 米 チャールズ・チャップリン
歯車と永久回転機械
歯車は一つの機械要素ではあるが実用範囲は広い。小形は時計の中に、中形は自動車に、大形はエレベータや建設機械に利用される優れモノだ。エネルギーの形態は変革していくであろうが動力伝達用として生き延びていく一つである。
その歴史は古い。紀元前の古代文明時代から水車に用いられていることがギリシャの哲学者アリストテレスの文献にも残っており、紀元前250年頃には数学者であるアルキメデスも歯車を利用した装置を解説している(糸・ロープ類を巻き上げ、重量物を引き上げる装置)。
15世紀後半のイタリア・ルネッサンス期はレオナルド・ダヴィンチが歯車種類(平歯車・傘歯車など)をスケッチし歯車の技術史に残した。その後、1770年頃に鋳鉄製歯車が出現し、1780年ジェームズ・ワット開発の蒸気機関の往復回転運動に利用され、更に加速されていく。
歯車を加工する機械として工作機械ホブ盤が登場したのは1835年。ホブと呼称される工具を用いて、ホブを回転させながら工作物の円周上を軸方向に送り、工作物は回転し歯車が完成する。
日本では1953年に東芝機械がマスターウォームホブ盤の開発に成功。以降NC化困難な時代が続くが、1980年三菱NCホブ盤GH400NCが登場している。
歯車のことを書いていて「永久回転機械」と称される装置があることを思い出した。「その動作を維持するため付加動力無しに、その運動を半永久に維持し続ける」装置を、18世紀初頭の科学者オルフィレスが求めたのだ。
1713年、直径150cm、厚み15cmの車輪を造って毎分50回転させ重量20kgのモノを持ち上げることに成功する。その後スポンサーも現れて研究を進めた結果、遂に直径360cm、厚み35cmの巨大車輪を製作し展示・実演に成功したとある。
こんな永久回転装置があれば、エネルギー問題は直ぐに解決するであろう。
だが、エネルギー保存の法則・熱力学第二の法則に反するため実現不可であり(広辞苑の永久機関の項)、多くの学者の承認・賛同を得られず雲散霧消し現在に至っている。いや、「簡単にエネルギーを生み出す装置を作った人間は抹消される。経済は大々パニック、世界を牛耳る石油会社も許さないだろう」なんて物騒な話もある。
さて、歯車装置で思い浮かべるのはチャップリンの『モダン・タイムス』(米国1936年)。
作業工のチャーリーはベルトコンベア流れ作業の速さについて行けない。スパナを持った手はボルト締め付け動作を行いながら巨大な歯車装置の中に紛れ込む。