三重県労働者住宅生活協同組合
理事長 中居 信明 氏
三重県津市栄町1-891、TEL059-225-0851
30代子育て世代のニーズを徹底分析
50の人気設備など、標準搭載に
1966年の創業以来、供給数は約1万700棟。地元からの信頼厚い団体、三重県労働者住宅生活協同組合(中居信明理事長、07年度約200棟)では、分譲住宅と注文住宅を供給し、06年度のビルダー建築棟数(住宅産業研究所調査)では三重県トップとなった。かつては全国にあった住宅生協だが、三重のように今も残り、地域トップクラスの実績を挙げているのは全国でも珍しい存在。生協として消費者ニーズをどのように掴み、発展させてきたのかを聞いた。
8つ折のリーフレットを開くと、目に飛び込んでくる50の住宅設備機器の写真。サイレントレールキッチンやペアガラス、温水ミストサウナ、保温浴槽など、ふと「あったらいいなあ」と感じる設備がズラリと並ぶ。このすべてが「標準」採用と聞くと、かなりのお得感があるのではないだろうか―。
三重県住宅生協では、昨年、こうした50の設備機器や耐震・制振などハード面の魅力と、収納スペース確保などのソフト面での使い勝手を提案する「JWIND」プロジェクトをスタートさせた。プロジェクトは30代・子育て世帯のニーズを細かく分析する中で生まれてきたという。ソフト面では、玄関のベビーカー収納スペース確保や子供の成長に合わせた可動家具など、子育て世帯対応らしい工夫が随所に盛り込まれている。
プロジェクトの実物は今年のゴールデンウィークにて消費者にお披露目した。津市内の分譲地「夢が丘」モデルハウスで発表したところ、問い合わせが多く、3棟が即完売。「大きな手ごたえを感じた」と中居理事長は語る。
中居理事長が「細かな要望に応え、顧客満足度を徹底追求することが当組合のモットー」と話すように、「JWIND」プロジェクトについても分譲プランに応じたブラッシュアップを実施している。2月には「JWIND Step by Step」として基本プランに「ECO仕様」をプラスするプランも打ち出した。
コンセプトは「家計の応援」。ECOキュート、IHクッキングヒーターなどのオール電化設備のほか、断熱玄関ドア・ペアガラス、省エネ照明器具など9つの最新機器を「ECO仕様」として標準採用し、「年間13万6760円の光熱費削減を可能にする」(組合)を訴求し、好評を博している。
こうした「J―WIND」プロジェクト実施の背景には、熾烈化が進む市場競争があった。景気好調な名古屋市内への通勤圏であり北勢地域を中心に工場の誘致も進む三重県は、全国でもハウスメーカーのシェアが高く大型分譲タウンも多い激戦地。非営利団体として適正価格・高品質・顧客満足を追求してきた住宅生協でも、「ここ数年の供給棟数はほぼ横ばいか微減の傾向にあった」(中居理事長)という。「景気の冷え込みによる住宅取得マインド低下など、逆風はきつい。その中で『JWIND』を核に消費者ニーズをしっかり捕まえ、年間300棟ペースにまで成長させていきたい」(同)。
■施主のメリットを最大化
また、中居理事長は組合の家づくりについて、「非営利団体として適正価格・高品質・顧客満足を追求してきた」と繰り返す。「たとえば建築前の打ち合わせ。毎回、お客様、建築士、営業マンの3者がそろって面談し、三位一体で図面作りを行います」。お客様の要望を建築士が整理しつつプランを提案、資金プランを知る営業マンが設備仕様の増えすぎによる予算オーバーを見逃さないといったパートナーシップにより、細にわたり微にわたる打ち合わせは、時に1年を越してしまうほどになることも。とは言うものの、「早期契約が最終目的ではなく、お客様が満足できる家づくりができればそれが一番。商売下手なのかもしれませんが(笑)」
こうした施主の意向を第一とする家づくり発想の中で、他社になかなか見られない提案も見つけた。三重県が発行している地震防災マップに基づいた、「夢が丘」分譲地の地盤の安定性を記すパンフだ。地震防災マップは、東海・東南海・南海地震が同時に発生した場合における震度、液状化危険度、津波浸水域分布を示したもの。「大地震発生が近いと予想される中、こうした公的評価も、お客様のこだわりのある家づくりに必要な要素になるでしょう」と中居理事長は言う。