物流新聞トップへビルダー最前線 -1- 2009年02月25日号 ・10P

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事例公開と口コミ、大型リフォームの引き金に

株式会社 ゆめや 代表取締役 盛 静男 氏

 

 マンションリフォームが本格拡大期に入ってきた。矢野経済研究所の推計によると2015年のマンション専有部のリフォーム市場規模は8290億円で07年比26・8%増。新耐震基準(81年)以後に建てられた耐久性の高い物件が続々と「リフォーム適齢期」の築20年を越え始め、今後の大規模リフォーム増加への期待が大きい。需要喚起の勘所を、JERCO(日本増改築産業協会)近畿支部長の「ゆめや」盛社長に聞いた。

 阪神電車・魚崎駅からモノレールに乗って約7分。神戸湾に浮かぶ人工島、六甲アイランド内の駅を降りて石畳の小道を歩けば、外資系ホテルやカフェテラスが目に入る。広がる遊歩道には小川と木々。毒々しい看板はほとんどなく、近辺の大型ショッピングモール「神戸ファッションマート」でも欧風・アジアン風のインテリアショップが広々としたモール内に立ち並ぶ。
  六甲アイランドは、こうした落ち着いた街並みや小中高大とそろった教育施設、医療施設など生活インフラを整え、町開きから20年の間に約1万8000人もの人口を集めてきた。
  「長く住み続ける人がほとんどで、今がちょうどマンションリフォーム適齢期。島内マンションの住み替えケースもある」。神戸ファッションマート内に4年前、リフォームショールームを開設した「ゆめや」の盛社長は言う。同社は1985年に神戸市東灘区でリフォーム店を開業。ふんだんに蓄えたマンションリフォームのノウハウがここでも花開き、年商は5〜6億円へと成長した。平均単価は250万円と高く、1000万〜3000万円クラスの大型リフォームも少なくないという。


■図書館でみる住まいの夢
  「ちょっといいものを目指すうちのリフォームが、この町の空気に合ったんじゃないかな」。盛社長は何気なく言うが、施主の夢を広げる仕掛けはショールームに入ってすぐの場所に備えられていた。
  壁一面の書架にはリフォーム関連資料がずらりと並び、一角には「リフォーム事例集」も。アルバムの一冊を手に取り開くと、リフォーム前後の写真や間取りと解説、施工中の工程写真、施工カ所の図解、工程スケジュール表、耐震診断・補強の結果、各工事の内訳がある金額詳細、施主の感想。リフォームの全てが頭に浮かぶかのような情報がふんだんにあった。背表紙のタイトルをガイドに「スペイン風カントリーリゾート」、「会話の弾むリビング」、「映画のキッチン」…と、次々に読み進めたくなる。この図書館を目当てに、島内はおろか、遠方からも「ゆめや」にやってくる人が少なくない。
  利用は原則フリー。「自由に研究していただくことで、本当に安心して納得できるリフォームに近づけるはず」というのが盛社長の考えだ。


■良い「噂」が施主をつなぐ
  盛社長によれば「良しにつけ悪しきにつけ、とにかく噂が広まるのが早いこの『島』では、事業の成否を左右するのは施工者の質にもある」。特に気を遣うのが音の問題。マンションは躯体を通じて音が響きやすいため、「イメージ的には、施工時間のうち約半分、近隣の方への音の配慮に気を遣っている」ほどになる。
  特に音の大きな解体工事の前後には、上下左右の居住者に了承を得てまわり、施工時間は10時から17時を厳守。管理人へのあいさつを欠かさないなど、共同生活の場であることを踏まえたマナーの良さは信頼につながり、自然と紹介受注を呼び込む流れもできた。
  施工中の仮住まい(3LDK)も島内のマンションに用意した。生活の場に他人が入ることや、響く作業音によるストレスから施主を守るためでもあり、フリーの状態で施工するほうが工期が短く、美しい仕上がりが望めるためでもある。
  ホテル並みの生活家電やインテリアを備え、「かばん一つで気軽に泊まれる」(盛社長)のも魅力。仮住まいの空きを待ってリフォームを…の施主も多く、こうしたきめ細やかなサービスが人気の一因にもなっているようだ。