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挑む加工現場   2010年03月30日号


CAD設計では困難な有機形状に挑戦
「コンテンツと製造業は仲良くなれる」

アステック [精密プレス、成形、金型製作] 神奈川県横浜市

 CADによる従来の設計では困難な有機形状さえも高精度に実体化する─。ミクロン単位の加工精度で、弱電製品関連の機構部品製造で実績を重ねてきたアステック(伊藤拓社長、72年創業、従業員24人)はそんな新たな分野に踏み出した。曲面形状のデザイン表現に強いCG(ポリゴンデータ)から意匠性に富んだUSBメモリーの外装(3D-GAN主催の08年デザインコンテスト受賞作品)やフィギュアを製作したのはその一例だ。
  長野県小諸市にある長野工場。マシニングセンタやワイヤ放電加工機など牧野フライス製作所の工作機械を中心に、プレス加工機、射出成形機も揃える。受託加工にとどまらず今夏には自社製品を発売予定とあって、形状確認に用いる光造形機はフル稼働だそうだ。
  CGから実在のモノがつくれることは以前から知っていたが、「実験の範疇を出ていなかった」と伊藤社長は振り返る。そこで08年末、試しに自身が格闘家に蹴飛ばされているシーンを3DCGでモデリングし、そのデータから直接型彫り・成形したプラモデルを500個製作。09年の年賀状として方々へ送って反響を呼んだ。あま握りの指が1本1本分かれていて、靴の皺やひもまでが細かく再現。原寸の粘土原型による既存商品とは一線を画する。
  つくり方はこうだ。12分の1のスケールで伊藤社長自らが形づくった粘土細工(約15センチ大)を3Dスキャナーでデジタルデータ(CG)化。CGを35分の1スケールに縮小して金型をつくり、手持ちの射出成形機で製造した。「この精細さはポリゴンデータから金型を製作したからこそ表現できた。映像表現など日常的にCGが活用されている現状を考えれば、コンテンツとモノづくりはもっと親密な関係になれるはずだ」(同)と話す。
セオリーを否定
  1972年創業の同社はスイッチや微小モーターなど精密機構部品を得意とする。自動プレス、プラスチック成形およびそれに伴う金型の設計・製作を行い、量産まですべて内製する。プレスした金属部品を入れ込みながら成形する複合成形も守備範囲だ。
  先のCGを利用したモノづくりは精密部品加工業としての同社のこれまでの歩みと大きく異なるように見える。が、伊藤社長は「我々の事業は製造業ではなく創造業だと思っている。といってもデザインやアートを語るつもりはなく、お客様が求める品物を製造するためならセオリーも否定するし、事業や組織を変化させることだって厭わない」と言う。
  実は伊藤社長は2年前まで広告大手の電通グループにいたが、アステック創業者である父親からの打診で転職を決意。図面は読めず、設計・加工もしたことがなかったが、「アイデアと企画力には自信があった。脳みそで汗かいてるタイプだろう」と異業種への転職を意に介するようすはない。
  「マーケット戦略で日本のモノづくりは変えられる。いや変えていかなきゃ」
  現在は電子機器メーカーの下請けとしての仕事が多いが、「これまでのような川上・川下という社会構造ではなくなっていくに従い、製造業こそ企画力が求められるはず」と見る。



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