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挑む加工現場   2010年12月10日号


先行した「精密打ち抜き(FB)」を磨く
専業の強み活かし、世界へトライ  

秦野精密  [ファインブランキング加工] 
神奈川県秦野市 

 生産性に優れるプレス加工。とりわけ、せん断現象を利用するファインブランキング加工(FB加工)は、打ち抜き精度が高いうえ、板圧15_強までのワークを「つぶし」、「押出し」、「絞る」といった複合成形を連続アクション、あるいは順送でほぼ瞬間的に加工できる。このため、生産効率の大幅アップを狙って、切削、ワイヤ放電、鍛造、鋳造などの工法をFBに置き換えるための研究が引きも切らない。コスト競争の厳しい自動車産業など、今やFB無くして生産を語れなくなった。
  そのFB加工でトップランナー集団にいるのが、秦野精密(渕脇忠夫社長)だ。1978年の設立から30年強、この間、FB加工ひと筋でやってきた。
  自動車ブレーキのペダルを月産50〜60万個、ドアロックの部品を同200〜250万個、ほかオートバイのプーリーや、チップマウンターの送り装置部品…。「ウチはワークの種類が多いことが特徴ですね」と渕脇社長が話す。
  本社からクルマで数分の戸川工場では、160〜650dまで8台、FB先進国であるスイス製や、国内専業大手・森鉄工のFBプレス機がうなり音を上げフル稼働していた。長いコイル材が、次々と複雑形状をした機能部品となって吐き出される。仕事は、リーマンショック前の7〜8割がたまで戻っているそうだ。

■ノウハウは金型づくりから
  一方で本社工場には、安田工業のジグボーラーをはじめ、アジエシャルミー、三菱電機の最新ワイヤ放電加工機などハイエンドな工作機械が並ぶ。FB加工用の専用金型はすべて自社製作で、素材選びから金型設計・製作とすべてにノウハウが要るそうだ。ここに同社の強みがある。
  「圧縮応力と言うのですが、FBはプレス成形直後、締められていた金属が、緊張をほぐすようにわずか膨張するんです。だからそれを計算し、補正して金型を作る必要もあります」(同)。
  同社は、某プレスメーカーでFB加工機の開発絡みの仕事をしていた渕脇社長が「脱サラ」で始めた会社だ。渕脇社長はFB加工を生み出したスイスを何度も訪ね、学び、研究し、FBに賭けた。
  勤務していた会社がFB事業からの撤退を決定すると、家を売って古いFB加工機を購入。妻の実家が保有する牛小屋の片隅に機械を置いて加工業をスタートした。「ベニア板一枚を隔てて、機械の向こうは牛のフンがやまのようにあった(笑)」という。
  あの時のことは忘れない―渕脇社長が述懐する。会社が軌道に乗ってきたある時、世界を代表するスイスのFB加工機メーカー、シュミット社を訪問する機会があった。自社加工のワークを持参し見せると、スイスの研究者は「これをFBでやった? とても信じられない」そう驚きの声を返してきたそうだ。100分の1ミリ以下の精度の穴、仕上げの機械加工かと思わせる表面の綺麗さ、シャープなエッジ、ボス出しと呼ぶ複合成形。知らぬまにFB加工に磨きがかかっていた。
  牛小屋で一人で始めた事業は、30数年を経てワールドワイドに広がった。今は国内に4工場、フィリピンやタイへの進出も果たし、渕脇社長は「設備資金の回収に苦労しっぱなし」と笑うが、会社は順調に成長中だ。FB加工機はトータルで30台を優に越えた。
  新興国において自動車生産が活発するなか「チャンスはさらに出てくる」と睨む。「インドなどをはじめ、ウチが取れるFB加工の仕事は世界に広がっています」(同)。
  現在はFBに冷間鍛造技術を加えたファインフォーミング(FF)と呼ぶモノづくりにも取り組む。他者がやれない、日本らしい仕事で世界に挑み続ける。





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