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オヤジの社会学   2011年2月25日号掲載

携帯を手放せないわけ

 
 今いいオヤジになっている人たちが若かったころは携帯電話などなかったから、女の子の家に電話するというのはそれなりにハードルが高く、好きな子の家に初めて電話する時など結構勇気がいったものだ。
 もちろん、好きになってしまった子に初めて電話をするということ自体、非常にドキドキする行為であるわけだが、携帯ではなく家に電話するのだから、その子がすぐに出るとは限らない。お母さんが出たり、妹が出たり、ひょっとすると稀にお父さんが出るかも知れないという不確定性の時代を我々オヤジ世代は生き抜いてきた。 
  これはオヤジのオヤジたちが支え、築いてきた高度成長時代に比べれば大して偉くないけれど、今の軟弱な携帯全盛時代と比べれば断然偉い、そう思えてくる。
 「もしもし、○×さんのお宅ですか。△□と申しますけど、ホニャララさん、いらっしゃいますか」というセリフを大体今どきの若者はいえるのであろうか、甚だ疑問である。そして、保留音などという気の利いたものもまだそれほど浸透していない時代である。受話器の向こう側では 「はい、います。少々お待ちください」といったあとで「(ホニャラ〜。△□さんから電ワー)」などと上に大きく張り上げるような声が聞こえ、「(ほう、2階屋の2階に彼女の部屋はあるのか…)」などと思いを馳せているとじきに「(ダン、ダンダ、ダン、ドン…)」と階段を駆け下りてくる音が段々と大きくなり、「(ズーサッ、ボサッ、シャシャッ)」と受話器に当てた左耳をほじくられるようなくすぐったいノイズが聞こえたあとで「モシモシ」とようやくその子が出てきたものである。 何という臨場感だろう。
 かと思えば「はは〜ん、△□とはキミのことか」と何の癇にさわったのか、おそらくは高度成長経済を支えたのであろうその子の父親に、それから延々と1時間にわたって電話で説教されたこともあった…。
 今どきの若者が片時も携帯電話を手放せないでいるわけである。




中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。


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