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オヤジの社会学   2011年3月10日号掲載

春はにがみ

  二十四節気でいうと今は3月6日の啓蟄(けいちつ)から3月21日の春分へ向かっているところ。穴から虫たちが這い出し、時折寒の戻りがあっても暑さ寒さも彼岸までで、気候はグッと春めいてくる。どこかでまだ上手く鳴けぬうぐいすが鳴き、もちろん北国や南国などところにもよるだろうけれど、まさに「♪梅は〜咲いたかぁ、さく〜らはまだかいなァ」という時分である。
春になると食卓の情景が様変わりしてくる。海岸の土手にはクコが柔らかい新芽を出す。これを摘んでサッと湯がいてお浸しにする。ご飯にのせ醤油を垂らして食べるとじつに旨い。
 浜辺から眺める海も春の笑みを浮かべているようだ。澄んだ海の底にカジメが揺れているのが見える。長い棒でワカメをすくっている人たちがいる。新ワカメは味噌汁にしてよし、サラダにしてよしだ。クコ、菜の花、ふきのとう、のびる、せりなどの緑の野菜や、筍、つくし、うど、タラの芽などのアクの強い野菜が出回るようになる。
 昔から春は苦いものを食べよ、という。苦いもの、アクの強いものを食べて冬の間不活発だった体をしっかり目覚めさせよ、というような意味だろうか。栄養学的な見地からは、春野菜の苦味には冬の間蓄えられた脂肪を分解する働きがあるという。
 クコのお浸しやふき味噌、タラの芽の天ぷらを口に含むとひと呼吸置いてから、懐かしいような、なんともいえないほろ苦さが口の中に広がる。春だな、と思わせるインパクトがある。
春になると野山は冬眠から覚めたようにいっせいに芽吹いてくる。春は木の芽どきといい、精神状態が不安定になりがちな季節でもあるが、春野菜の持つ苦みと香り、アクの強さは精神を安定させる効果もあるのだそうな。春の苦みはいくつもいくつも欲張って食べるものではなく、ひとつかふたつ口に含めばそれでよろしいようである。
 そこここに芽吹いた小さな春が足早に広がっていく、そろそろ花見の日程など考えてみたい、そんな季節を迎えている。




中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。


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