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オヤジの社会学   2011年5月25日号掲載

身土不二

 「身土不二」という言葉がある。「住んでいる土地の気候や風土に育まれた四季折々の旬の食べ物を食べるのが身体に一番いい」という意味である。最後のところを「一番旨い」に代えると筆者が田舎暮らしを始めた理由になる。
 物流が発達して地球の裏側で獲れたものまで近くのスーパーで売っているような時代であるが、本来、人間も含めた動物たちは自分が移動できる範囲の外にある食べ物を口にすることはできなかった。身土不二が自然な姿だった。
 人間が考え出したテクノロジーによって素早く遠くに移動できる現代においては、遠くで獲れたものを人間が口にするのもまた自然なことかも知れないが、有史以来、いや地球上に生物が誕生して以来の食の自然な姿が崩れ去ろうとしているいま、身土不二という言葉は一層重みを増している。

 野菜にしても魚にしても肉にしても、近場で獲れた地物だけで生きていくのはなかなか難しいものである。ではどうするかというと、現状と妥協しつつ、たとえばもし東京に住んでいるなら千葉、茨城、埼玉、神奈川で獲れたもの、それでも無理なら栃木、群馬、山梨、静岡で獲れたものというふうに徐々に同心円の輪を広げていくのである。同じ食材なら北海道や九州産を手にする前にそれらを検討する。輸入食品はなるべく買わない、口にしないようにする。

 ところが、この身土不二の実践に黄信号が灯っている。原発の放射能汚染の広がりによってである。好きなものを食べようとして「これって大丈夫?」といちいち疑わなくてはならないのは本当に悲しい。政府は「それは風評であって流通しているものは問題ありません」というけれど、たとえそれが基準値以下の微量であっても放射能に汚染された食材を長年にわたって摂取して、その後、身体がどうなるか、神様でもないのに一体誰にわかるのか。
 近場ではなく遠くの物、新鮮ではなく3・11以前に製造された加工食品のほうが安全などというまったく不自然な状態に食をめぐる環境が歪められてしまい、困惑している。



中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。


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