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オヤジの社会学  2011年9月30日号掲載

新米を食べないコメ農家

 ホームセンターに部品を買いに行った。6個欲しかったのだが店頭には3個しか並んでいない。店員に在庫を尋ねると「うちは倉庫がないので売り場に並んでいる品がすべてです」という。3個買って、ついでの用があった時に見に行くが、品物はなかなか補充されない。
 在庫を抱えないというのは今では経営効率化の要諦だ。在庫ゼロで想起されるのは、トヨタ生産方式の核をなすジャスト・イン・タイム。部品在庫を抱えないよう、下請けに時間通りに部品を納品することを求めた。生産と部品供給を同期化し、その間の時間やコストを削減した。ところが、この賞賛された在庫ゼロのリスクが顕在化したのが今回の大震災後の生産の落ち込みと、その後の回復局面だったという。

 震災後、自動車各社の生産はいずれも大きく落ち込んだものの、その落ち込み具合とその後の回復には差があった。落ち込みが比較的小さく、その後の回復も順調だったのは三菱、日産、マツダ。逆に落ち込みが大きく、回復も遅れたのはホンダ、トヨタだった。その明暗を分けたひとつが部品在庫だったという。
 前者のグループは比較的部品在庫のストックがあったので、震災で協力各社からの部品供給が途絶えてもある程度の生産能力を保持していたのである。平常時、経営のお荷物と見られていた在庫が、非常事態発生で物を言った格好だ。

 ところで、時は稲刈り、新米の季節だが、コメ生産者は新米を食べない。その傾向はお年寄りほど強い。翌年に何が起こるか分からない。コメが獲れない場合に備えて1年分はストックしておきたいという方もいる。そうすると、新米が獲れてようやく去年獲れたコメを食べ始めることになる。
 ナンセンスだ、と笑う若い世代は多い。たしかに、せっかくこんなに美味しいお米を食べないなんてもったいないと思う。だが、美味しいか不味いかよりも、食えるか食えないかは切実な問題だ。平常時にはムダに見える在庫が非常時に役立つことがある。震災は我々が在庫について考え直す一つの契機でもある。

 一説によれば、人が忘れやすいものは3つあるといわれる。
ひとつは、人の名前である。
 街で人を見かける。顔は知っているのだが名前が思い出せない。どこで知り合ったのか、それすら思い出せないこともよくある。顔見知りなのでつい声をかけてしまい、名前が思い出せずに会話に詰まることがある。経験的にいえば、名前がなかなか出てこないのは、昔からの知り合いよりも近年知り合ったのだが、最近しばらくご無沙汰してしまったというような人に多いようだ。

 三大物忘れのふたつめは、場所の名前である。
 地名が出てこない。交差点の名前を人に教えようとしているのに、どうしてもその名前が出てこない。あるいは、ほら、あの石油がたくさん出る国、などと国名が出ない。はたまた、あのチョコレートケーキのおいしい店、なんてったっけな~、などと店の名前が出てこないのも広義では場所の名前忘れに含めることができる。
 そして、三大物忘れの3つめは、えーと、3つめに人が忘れてしまうものが… アレッ、3つめは何だっけ?



中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。


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