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挑む加工現場   2011年11月25日号


バリ低減する独自開発のSAF工法
高精度と低コスト両立、市場ニーズ掴む

藤原電子工業[薄板プレス加工]
大阪府八尾市

加工現場 大阪府八尾市に本社を構える藤原電子工業(従業員数33名、藤原義春社長)は昨年9月、台湾桃園市に全額出資の現地法人藤原精密を設立。桃園市の新工場に2台のプレス機を導入し10月から稼動開始した。受注先となる台湾の大手プリント基板メーカーが求めているのは、藤原電子工業が独自開発したプレス工法「SAF工法」だ。基板素材となるガラス繊維複合材料のプレス加工で高精細な切断面が得られる特許申請中の工法。台湾メーカーでは「製品不良の原因となるバリと埃の混入を防げ、ルーター加工からの転換で大幅なコスト削減効果がある」と高く評価する。
 藤原社長は日本と台湾の基板産業を比較してこう話す。「日本のメーカーは古い機械を上手に使って精度を出そうとするが、台湾は最新鋭の機械を積極的に大量導入する。人件費の安さや量産効果でコスト競争力があり、精度もあと数年で日本を追い抜くのではないか」。同社が台湾で受注しているのはSDカードやLED基板。「技術力で新たなビジネスチャンスを海外に見出しながら、国内で更なる術開発と新事業開発に挑み、国内の雇用を守り続けたい」(藤原社長)と語る言葉に熱がこもる。

■バリ低減工法を開発
 創業は1993年、プレス機2台、従業員4名からのスタートだった。バブル崩壊後のこの時期、基板メーカーの多くは部品調達の海外比率を高め、国内に残る受注も価格を叩かれるばかり。生活家電向けなど民生用基板はその傾向が特に強く、藤原社長は「立ち上げから5年、早朝から夜中まで働き続けてようやく従業員の給料が払えるかどうかだった」と振り返る。技術で強みを発揮しようと、切断面にバリの出ない金型を研究すること5年、試作が完成するまでさらに5年。「これならいける」とPRを強めたところ、自動車の電装品メーカーから声がかかった。加工依頼を受けたのは自動車に搭載する基板で、通常なら2年かかるところを6カ月と異例の速さでメーカー承認を取得した。
 スピード承認はSAF工法が精度とコスト減に厳しい自動車の電装品に最適とみなされたからだ。というのも基板は数層ものガラス繊維でできており、従来の加工法では打ち抜きプレスの後にバリを取るためのシェービングプレスが再度必要だった。さらに従来工法の場合、シェービング金型を常に美しく磨いておかないと刃先が滑ってずれるために求める精度が得られず、金型研磨の手間も難点。一方で、SAF工法の場合は1回のプレスでバリが出ず加工精度が高い。加工時間も大幅に短縮でき、「藤原に出すだけでコストが削減できる」と受注が急増した。
 最近ではサーボプレスを2台導入し、SAF工法の精度はさらに進化を遂げているところだ。カーエレクトロニクスの進化に伴う電装部品の増加や電気自動車の発売、携帯電話の進化を受け受注状況も好調で、リーマンショックによる受注減もほぼゼロ。2011年9月期の売上高も前年比3000万円増の2・3億円と持続的な成長を実現している。

■夢を持ち人間的成長を
 最近ではロボット事業もスタート。簡単に組み立てられる地元小学校の教材向けロボットや、発話・防犯機能を搭載した接客ロボットなど、八尾市内の企業と協力して新たな事業開発に挑んでいる。「将来的にはプレス加工の自動化ロボットも現場目線で開発したい」(藤原社長)など未来構想は拡大中だ。
 社長に限らず従業員全員にも夢がある。「会社の敷地で介護事業を」「ペットのケア事業を」―と、製造業の枠に留まらないのが面白い。「夢を実現させるためにはまず、後輩を育てなければ」「今の仕事でもっと利益率をあげねば」―と仕事の意欲も倍増し、「やらされている仕事ではなく、目的意識を持つことで不良率も下がった」(藤原社長)そうだ。「それぞれが夢を持ち、人として成長できる職場に」―働く喜びが事業の成長を支えている。







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