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オヤジの社会学  2011年11月25日号掲載

秋の夜長

 日がどんどんと短くなり、ぐっと冷え込む日もぼちぼち出現するようになった。秋深し、である。
 秋の夜長などという。今ごろから冬至を挟んで1年のうちで一番夜が長くなる。そうした天体の物理的現象もさることながら、秋の夜、部屋に明かりを灯せば、なんだか寝てしまうのが惜しいような、長居したくなるような気にさせる。好きな音楽でも静かにかけながら夜更かししてみたくなる。

 日頃、山積みになっている荷物でも整理しようかと手を付けてみる。だが、古い手紙や写真など手にとれば、その時代のことがあれやこれや思い起こされて、かえって店を広げる結果となる。しかし、それが秋の夜長にいかにもふさわしい。無為にして贅沢な時が流れるのである。
 金目のものでも出てこないかという邪念が湧かないでもない。古びた財布に入った百円札が何枚か発掘された。これは、と思ってネットで検索する。相場はせいぜい150円とわかってため息をつく。たしか百円札がもう刷られなくなった時に父親が「とっておけば値上がりするぞ」といったのだ。何十年もかけて「オヤジのいったことは大してあてにならない」ということがいま証明されたわけである。そんなことを考えて、部屋でひとりニヤニヤする秋の夜長である。

 額縁の裏から久しく忘れていた抽象画が1枚出てきた。どこかのギャラリーで見ず知らずの学生が個展を開いていて、気に入って購入したものだ。顔も名前も知らないが、この絵の作者は絵描きになったろうか。それとも堅気に落ち着いただろうか、などと本当にどうでもいいことを考える秋の夜長である。
 壊れて片方音が鳴らなくなったアンプが押し入れの奥に後生大事にとってある。30年近く前に購入したものだ。これはさすがにもう捨てよう、だが最後にもう1度だけ鳴らしてみようとプラグを差しこんでスピーカーに接続してみた。なんと、問題なく音が出る。しかも、とても美しい音だ。代わりに今使っているアンプを後生大事に押し入れに仕舞い込む秋の夜長である。 



中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。


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