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挑む加工現場   2012年01月25日号


真円エルボに世界中の発電プラントが注目
金型で磨いた3D技術、「コロンブスの卵」産む
野田金型[金型製作・鍛造加工]
大阪府高石市

  野田金型L字に曲がった配管部材をエルボと呼ぶが、このエルボの不具合が国内火力・原子力発電プラントにおける配管減肉事例(蒸気漏れの原因の一つ)の第一位(日本機械学会調査)だとご存知だろうか。その不具合を大幅に軽減できるとあって、世界中のプラント関係者から注目を集めているのが野田金型の特許製品「真円エルボ」だ。
 通常のエルボはプレスと溶接で作るが、野田金型では鍛造ブロックから削り出す。「どこを切っても真円にできる」と堀口展男社長はニヤリ。ポケットからおもむろに手のひらサイズの真円エルボを取り出すと中にボールをスポンと入れ、わずか0.1秒でスルリと通り抜ける様子を見せてくれた。
 ボール径と真円エルボの内径差はたった0.08mm。「従来のエルボは中が歪んでいるからこんなボールは通らない。プラントでは管を通過する気体・流体の圧力でエルボ自体が細かく振動し、溶接痕や圧縮のストレスで歪んだり薄くなった部分から割れていく」のだと説明する。一方の真円エルボは歪みがないので振動を軽減し金属疲労を抑えられる。福井大学の試験で「加工硬化がなく2倍以上の保守性がある」の調査結果も出ており、流体がスムーズに流れるためプラントの発電効率も2〜5%増すとみられている。発電コストをどうにか抑えたいプラント関係者が色めき立つのももっともだ。
 真円エルボは09年の発売以来、国内では火力発電所やプラスチック加工機械の部材として需要が伸び、11年9月期の売上高は前期比1.6倍の5000万円に。同社の全売上高の3割を占めるまでに成長した。海外の展示会にも積極出展し、航空機のジェットエンジン周りや米軍関係者らの採用検討も進んでいる。


■3軸加工にこだわり技術供与へ
 開発のポイントを堀口社長は「コロンブスの卵ですよ。発想を変えれば誰でもできる」と事も無げに言う。が、かかった時間は4年。サラリと話す言葉の裏に、自動車の型製作で培った技能と地道な努力があった。
 木材での試作で加工の問題点を洗い出しながら、3次元CAD・CAMで切削シミュレーションを繰り返す日々。「5軸より剛性が高くシンプルで加工しやすい」と3軸機にこだわりつつエンドミルの先端に歯車がついたような独特形状の工具や治具を開発し、円弧部分を歪み無く加工することに成功した。
 その間、経済産業省の特定研究開発計画に認定、サポイン事業に採択。研究費を得てチタン、インコネルなど難削材での研究も始め、今では流体が衝突して穴が開きやすくなる部分を強化した肉厚タイプ、チタン製軽量薄肉タイプ、3トンにもなる火力発電向け大型エルボなど種類も増えた。「流量ロスをさらに軽減しよう」と新タイプの研究にも余念がない。
 今後はライセンス生産を広げる構えにある。拡大する需要に従業員10名の野田金型だけでは対応できないからだ。第一弾として工作機械メーカーOKKの米国子会社OKK・USAに製造ライセンス供与を決めており、今春からOKK・USAでの生産が始まる予定。国内でも金型生産者らへの技術供与を検討中で、「脱自動車の起爆剤に」の期待が高まっている。
 一方で自社の今後を問うと「M&Aされるような価値ある会社に」と返ってきた。親族に後継者を育てていない分、新技術を生み出し続けられる人を育てたいのだという。確かに同社ではこれまでにも自動車向けCFRP用鍛造金型を帝人に提供したり、FSW(摩擦攪拌接合)でサポイン事業に採択されたりと、最先端の研究で成果をあげてきた。
 新開発に次々挑めるのは堀口社長がグングン引っ張るだけでなく、「まず任せてみる」方針が社員のやる気を最大限に高めているという部分が大きい。朝7時からのミーティングでも円卓に全社員10名が座し、細かなことでも逐一検討しあう。「社長、それは段取りが悪いでっせ」。歯に衣着せぬ言葉が飛び交う日々の中で精鋭が鍛え上げられ続けている。







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