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挑む加工現場   2012年04月10日号


熱変形を予測、金型の試作をスピード化
アジアの激戦、設計技術でリード
ナカキン[鋳造金型設計製作、自動車部品製作]
大阪府摂津市

 日本の金型技術者らはアジア製造業の「師」として、その発展を長く支えてきた。が、力を付けた「教え子」達は今や手ごわいライバル。「日本に金型の仕事が回ってくるのは、あと2〜3年ではないか」。ナカキン(榎本卓嗣社長、従業員数450名)の金型事業部・鳥飼工場の根本武司工場長は苦笑交じりにこんな予測もありだという。
 ナカキンはロータリーポンプなどの産業精機、軽合金、金型の3つの事業部から成り、それぞれが連携しつつも独立採算制をとる。金型事業部では十数年前からアジア市場開拓にも熱心で、昨年、中国、マレーシアの自動車部品に関する大型プロジェクトを受注。売上高は前年の倍増、輸出比率は8割にまで跳ね上がった。
 好調の最中にありつつも油断はない。「設備力ではもう、アジア勢に負けていますよね」と根本氏。先だって視察した中国の某大手金型工場には、最新の大型計測装置、工作機械がズラリと並んでいた。写真から3D設計データを取り出すリバースエンジニアリングを使えば、金型はおろか車まるごとだって模倣できそうだ。
 「弁護士に相談してもみたが図面をほんの少し変えれば著作権侵害にもならない。もはや、模倣を恐れて金型の輸出はできないということでしょう」
 勝負を懸けるのは、模倣できない「ノウハウ」という。「3D技術があれば95%の完成度までは再現できるでしょうが、最後の5%、技術者の手と頭に詰まったノウハウがなければユーザーの要望にスピーディに応えられない」。
 金型事業部の人員自体は減らしてコスト力を高める一方で、他事業部のスタッフに金型設計・製造を伝え、多能工化を推進。金型設計の微妙なノウハウを共有できる、新技術開発に挑んでいる。

■熱変形見込む金型
 新技術の一つが、平成21年度の経済産業省「モノづくり中小企業製品開発など支援補助金」事業に8倍の倍率を抜けて採択された「熱変形を見込んだ金型の試作開発の取組み」。
 鋳造時に金型が受ける熱変形量(ソリ)をシミュレーションソフトで予測し、ソリを見込んだ金型を作ることで、製品のバリをなくそうというもの。「鋳造のトライ&エラーの回数を減らして量産立ち上がりコストを抑えることができる」(根本氏)。スピードとコストがより一層求められるようになった、メーカー側の試作開発ニーズにぴったり合う技術だ。
 自社の部品製造技術に生かす道もある。これまでバリ取りは日本工場ではロボット、後述のインドネシア工場では手作業だったが、熱変形を見込んだ金型の採用で、バリ取り作業自体をゼロに近づけることもできるという。

■インドネシア工場も活況
 新興市場の開拓にも熱心で、ナカキンでは1995年、インドネシアの首都ジャカルタ近郊に現地法人「P.T.ナカキンインドネシア」を設立。インテークマニホールドやシリンダーヘッドなど、自動車・二輪車関連部品のアルミ合金鋳造物を製造している。
 活況の自動車・二輪車市場を受け、同法人では昨年工場を増床し生産能力を1・5倍に高めた。昨年の売上高は前年比2割増で、この3月から新環規制に対応するエンジン部品(二輪車)の垂直立ち上げに入ったところ。息付く暇ないフル生産は、アジア通貨危機に耐え、賃上げを求める暴動に耐え、粘り強く現地人材を育て続けた成果だった。
 「日本の本社でカバーできる余裕、そして10年継続する覚悟がなければ、闇雲に進出しても海外事業は上手くいかない」と根本氏。同社でも激変の10年を耐えた結果、現地スタッフが多数育ち、技術や「ナカキン」式のモノづくりも浸透し始めた。今後の課題は現地への金型メンテナンス技術の移転。メンテ体制のスピード化を図るべく、研修生を国内工場に招き、技術の移転を進めているところだ。







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