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挑む加工現場   2012年06月10日号


装置メーカーとして強み発揮
「加工安定度は他社の10倍」
高和電気工業[電子ビームによる精密溶接]
神奈川県川崎市

 0.7mm幅の隙間から深さ10mmおよび17mmの2カ所を同時に溶接したステンレスや、インコネルと銅の異種金属の接合。電子ビーム溶接ならこんなことができるのかと改めて思い知らされる。
 手がけるのは高機能プラスチック成形で知られる高和電気工業(飯高研市社長、1937年創業、従業員213人)。自動車や化学プラント、航空機などの部品を溶接加工し、高品質で安価なニーズを満たす。その現場を訪ねるとポンッポンッポン…と小型船を想起させる音が絶え間なく聞こえてくる。愛らしい音の正体は電子ビーム溶接機に搭載された真空ポンプで、3段階で引くことで高い真空度を保つ。これにより同社の電子ビームは15万ボルトの高電圧を実現。なぜこれほど電圧を高める必要があるのかは物理を思い出してもらいたい。力の大きさはF=maで表され、電子の質量mは極めて小さいため加速度a(電圧)を高めるわけだ。一般的な6万ボルト程度の溶接では難しい冒頭のような焦点深度の深い加工ができるのが特徴だ。
 「他所でできない仕事がウチに来る。だから数は少ないが、付加価値の高いものを集中的にやっている」
 塚本清一EBW事業部長はそう話す。電子ビーム溶接は電子の束(ビーム)をワークの局部に照射し、加熱・溶融させる加工法。真空中の溶接のため溶接部の酸化がなく、熱源総合効率が高い(約90%)。同社では電圧が高いことに加え、加速電圧とビーム電流を独立して変えられるため、極薄板(25ミクロン)から厚板(40mm)まで安定した溶接ができる。航空機の部品や自動車のパワートレイン部品の加工に欠かせず、この技術なしには自動車のパワートレインの多くがつくれないともいわれ、これらの分野での需要は膨らみつつある。

■本来の性能ひき出す
 同社が電子ビーム溶接機を使った受託加工を始めたのは実は数年前。後発の同社が難易度の高い溶接ができるのは、電子ビーム溶接機そのものを製造しているからだ(開発・販売はNECコントロールシステム)。「電子ビーム加工機をつくるノウハウをもった受託加工は機械がもつ本来の性能を引き出し、溶接の安定度を高めることができる。当社入手データで見るかぎり当社での安定度は他社の10倍は上をいくのでは」と言う。
 もっともプラスチック成形を事業の柱とする同社にとって、電子ビーム事業は売上全体の1割ほど。電子ビーム溶接機2台と、溶接後の検査のための超音波探傷機、X線検査装置、切断研磨装置を用いた受託加工に限ると、割合はもっと少ないが、「利用技術を高めることでこの分野の底辺を広げられる。この事業はいわば溶接機のアンテナショップの意味合いがある」。
 とはいえ、塚本事業部長は電子ビーム溶接機をつくる技術と、それを使う技術は表裏一体だといい、使いこなす技術のさらなるレベルアップが目下の課題。そのためには難しい仕事を数多くこなすことで、同社の知名度をいっそう高めていく方針だ。







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