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オヤジの社会学  2012年09月30日号掲載

わかってくれ、息子よ

 最近は、1缶100円そこそこの第3のビールや輸入物の割安なビールが店頭に並んでいるが、そういうビールを買って家に帰って飲んでいて、「なんか違う」と時に蛇の生殺しのような気分を味わっているのは筆者だけだろうか。
 その日は、日中汗をかいて大いに仕事をした自分へのご褒美として大枚300円を投じて久しぶりに瓶ビール大ビン1本を購入した。贅沢である。
 店で買った時は冷えていたが、車で家に帰る間にぬるくなるし、家に帰ってすぐに始めるわけではないので、冷凍庫に大切に保管することにした。それをめざとく見ていた息子が「あっ、ビールを冷凍庫に入れると爆発するんだよ」と忠告するのだった。
 たしかに過去、そんな失敗もあった。だが、きょうはこの1本の瓶ビールを忘れるわけはない。しかも、もうじきに飲み始めるのだ。そのためにはどうしてもここで急速に冷凍庫で冷やさねばならんのだ、わかってくれ息子よ。
 さあて、いよいよだ。残暑厳しいとはいえ、もう秋だ。ぐずぐずしていると日が暮れる。瓶ビールはまだ空が明るい宵の口に飲むのがいい。なんせ瓶ビールだ。そんじょそこらの缶入り第3ビールとは自ずから処遇が異なる。
 冷凍庫から取り出し、王冠を抜けば、早くも瓶が汗をかいている。これが飲むものの心をそそる。ここで再び息子が「コップを冷やしておくとおいしいんだよ」と、忠告してくれる。それは、正しい。正しいが、この期に及んでもはやグラスを冷やしている猶予は一刻もない。世の中いつも正しいことばかりが行われるのではない。わかってくれ息子よ。
 忠告を無視してサイダーとビールのロゴの入った小さなグラスに瓶からビールを注ぐ。なぜだかわからないが、食堂によく置いてあるこの平凡なグラスがいい。瓶ビールを・飲んだ感・がある。1杯目をぐいと飲み干し、2杯目を半分くらい飲んだ。至福とはこのことだ。その時、息子がかまぼこを1枚薄く切って、わさび漬けをちょこっと乗っけて持ってきた。おまえ、わかっているなあ、息子よ。


中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。





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