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オヤジの社会学  2013年1月25日号掲載

都会と田舎のはざまで

 年末に久しぶりに高校時代の友人と東京で会った。彼は大学を卒業してから大手証券会社に就職し、今では地方の支店長を任されるまでになっている。意外に思ったのは、彼が地方勤務を希望しているということである。大企業に就職した組織人であるなら、東京本社勤務を希望するのが王道ではないかと思うからだ。
 東京下町で生まれ育った彼は、会社に地方勤務を命じられて、はじめは仕方なくそれに従っていた。だが、各地を転々と暮らすうちに、すっかり地方の暮らしが好きになってしまった。純朴で温かみのある地方で暮らす人たち、新鮮で本当にうまいその地その地の食べ物に触れるうちに、人間らしく生きているのは東京の人よりも地方の人だと考えるようになったというのである。
 彼はいう。日本で一番うまいものを食べられるのは東京だろう。全国各地、世界各地からうまいものを取り寄せて、腕自慢の料理人がそれを調理してくれる。でも、そんなものは滅多に食べられるものではない。東京はお金があれば楽しめるが、暮らすなら地方だ、と。
 彼は現在、人口30万人ほどの県庁所在地の支店に勤務している。本社からはノルマ達成を迫られ、自ら営業もするし、人事管理、人材確保など仕事はなかなか大変そうだ。東京にいるときはそういう感覚はなかったが、地方でお金を持っているのはお医者さん、学校の先生、公務員の人たちくらいで、有力な地元企業も数えるほどしかない。そんな中で証券の営業をするのは本当に難しいが、それでも信頼してくれる人、律儀に付き合ってくれる人はいる。都会でデスクワークばかりしているより地方勤務が性に合っている、と。
 そう語る彼自身、地方では紛れもなく富裕層であろうから、地方移住組の筆者としてはうらやましい限りで、地方は地方で世知辛い事情もあるわけだけれど、クオリティオブライフ、上質の生活を求めて、都会と地方の間に何とか折り合いをつけようとする彼の生き方は、高校時代に同じ釜の飯を食った者として共感できる部分が多々あったのだった。


中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。





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