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オヤジの社会学  2013年2月10日号掲載

現代工法の職人芸

 先日、家を建てるところを見ていた。木造建築である。朝方見た時は、1階部分の柱が立ち、その上に一部、作業用の2階の床が張られ、2階部分は四隅に4本の柱が立っているだけの状態であった。家は結構大きく建坪にして40坪ぐらいはありそうだ。それから職人が来て仕事が始まった。
 驚いたのは現場で材木を切ったり削ったり一切しないことである。クレーンを搭載したトラックが時折現れて、すでにどこかで加工された大小長短さまざまな木材を積んできては、次々に降ろしていく。大きいものはクレーンで吊って2階に降ろし、人ひとりで扱えるものはその場に降ろす。降ろし終わるとトラックはすぐにどこかに消えていった。
 それから職人が5人掛かりで降ろした木材を2階に上げ、これはここの柱、これはあそこの梁、という具合に組み立てていく。釘を使っている様子はほとんどなく、予め削り取られた凸凹をはめ込んで、木槌などで叩いて収めている。巨大なプラモデルを組み立てていくような工法である。
 感心するのは職人たちが休む間もなくよく働くことである。そして動きに淀みがない。何がどこの部材なのかを知り尽くし、自分が今何をすべきかを瞬時に判断している。5人が5人、絶えず動いていて、手持ち無沙汰になっている人間などひとりもいない。梁は叩いても、無駄口は叩かない。さすがはプロである。運動会でテントを組み立てる度に、これはどの部分のパイプだっけとわけが分からなくなる、どこかの誰かとは違う。
 夕方見ると、2階からその上の屋根を支える部分まで基本構造が完成し、明日にでも棟上げができる状態になっていた。ここまでを1日でやってのけたのである。
 背景には徹底したコスト削減、とりわけ人件費の削減があるのだろう。木材の加工など他の工程は可能な限り自動化されているに違いない。だが、現場の組立作業をこれほど効率よくこなせるのはやはり人の手以外にないだろう。鋸やかんなを引く音は消えても、辺りに響き渡る槌音に今も昔も変わりはない。


中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。





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