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オヤジの社会学  2013年6月25日号掲載

後継者育成

 小学校5年の息子に自転車のパンクの修理を教えている。パンクの度に父親出動となるのが面倒になったということがあるにせよ、自分で直せるものは自分で直す男になってほしいと思うからだ。
 やってみせ、いって聞かせて、させてみて、 褒めてやらねば人は動かじ、はよくいわれる山本五十六の言だが、物を教えるということは気長でないと務まらないと改めて思う。まず、ネジの回転の向きがわからない。緩めようとして逆に締めるほうに回している。家の勝手口を開ける時、ネジ鍵はどっちに回すんだっけ、などとアドバイスしてみるが、右に回したり、左に回したりで、ネジ1本がなかなか緩まない。
 筆者自身、パンクの修理を5年生でできたかといわれれば、もっと大きくなってから自転車屋で見て覚えた。けれど、こちらも齢五十を超え、1日も早く子どもに独り立ちしてほしいと願わずにはいられない。1日も早くパンク修理作業を引退して楽がしたい。
 タイヤを外して中からチューブを取り出すところは大人でもなかなかの難所で、案の定、泣きが入ってきた。仕方なく、どれどれと出動して、道具箱に入っていたドライバー2本でこじってとっかかりのところだけタイヤを外してやる。自分でやったほうが早いが、あまり手を貸しては後継者は育たない。
 チューブに空気を入れ、水を溜めた容器に浸して泡が出てくる穴の空いた箇所を探す。辺りは暗くなってくるし、見れば息子の周りには蚊が十ほどもたかっている。作業環境はこの上なく悪い。男というものは辛いものだ。息子のかがんだ後ろ姿を見ながら、いつもにも増して愛おしく思う。
 穴を発見し、水を拭き取り、軽くヤスリをかけ、ゴムのりを塗る。しばし待ってパッチを貼り付ける。チューブに空気を入れ、もう1度容器に浸して空気漏れがないかをチェックする。取り外した時とは逆の工程でタイヤを再び車輪に戻していく。
 その時はどうやら直ったようだったが、次の朝見るとタイヤから空気が抜けていた。後継者育成とは時間のかかるものである。


中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。





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