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オヤジの社会学  2013年8月10日号掲載

納得できないものが残る

 高速ツアーバスの相次ぐ事故を受けて国交省が8月から規制再強化に乗り出した。高速ツアーバスは2000年の規制緩和で低料金が人気を呼び新規参入が進んだ。大手バス会社の乗り合い路線バスとは違い、旅行会社が旅行者の予約を集め、貸し切りバスの事業者に運行を委託するというものだ。
 はしりはスキーバスに見られた。新宿駅西口の停留所もない路上にさながらバス・ターミナルのようにバスが何台も連なり、大勢のスキー客を東京から雪山へ運んでいた。公共交通を使うよりも安上がりのツアーが組めるからだ。
 高速ツアーバスはこの延長線上にあるが、この方式は、旅行会社に対して道路運送法に基づく安全確保の責任が求められていない。このため、委託先の貸し切りバス会社の管理がずさんで、不眠不休のドライバーが居眠り事故を招き、規制再強化となった。新制度では、高速ツアーバスの主催者を旅行会社から大手バス会社に移し、委託先の運行も含めて安全確保の責任を負わせる。また、停留所の設置義務などコスト要因もあって既存事業者の約7割が撤退するそうだ。
 しかし、高速バスはもともと大手バス会社のドル箱路線で、それが、格安バスツアーに乗客を奪われたものだ。一方で、先の規制緩和では不採算路線の廃止や縮小が一気に加速した。それまで路線バスの廃止には国の許可が必要で、代替交通機関がない場合は、オイソレとは認められなかったのだが、事前の届け出だけで済むようになった。近年、地方都市を中心に鉄道やバスの路線縮小、ダイヤ縮小が以前よりも頻繁に行われている。ダイヤ縮小の一番の大きな理由はマイカー増と人口減による乗客の激減にあるが、規制緩和が追い打ちをかけた感は否めない。
 無論、安全第一ではある。が、してみると、一連の規制緩和と再強化に振り回されて高速バスは元の姿に戻ったが、地方の不採算路線の切り捨てはそのまま残ったということではあるまいか。子ども手当の増額が断ち消えて、扶養控除の廃止だけが残った税制に似て、どこか納得できないものが残る。


中原亭(なかはら・てい)…金融、工業系と紙誌の編集を経て田舎暮らしにチャレンジ。現在、地方紙コラム執筆・地域雑誌編集のかたわら、田んぼを耕作。5人の子持ちオヤジ。





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