コラム

2017年5月10日号

 新緑の季節。コートを脱ぎ、スーツをしまい、多くの企業でクールビズがスタートした。都内のビジネス街もなんとなく軽やか。気持ちが自然、改まってくる▼もっとも、クールビズファッションとか、カジュアルフライデーといった言葉を耳にするようになった割には、皆さん、シャツは白を基調に単調という感じ。もう少し遊んでいいの声もあるが、毎年そう変わらず、一定のスタイルで落ち着いた感がある▼学生時代の授業をふと思い出す。都会人ほど見た目に洗練されていくのは、社会学的に説明できると、ある教師が説明した▼人口密集地では他人との関係が希薄で、人物評は第一印象に頼らざるを得ない。だから皆、身だしなみや服装にこだわる。翻って田舎の暮らしだと、人間関係が濃く、見た目で人を決めるようなことではないから、服装などは二の次になる―そんな理屈だった▼なるほど、個人のプライバシーまでは踏み込まない大企業の採用一次面接などでも、第一印象が大きくモノをいうようだ▼さて、この伝でいけば、クールビズでノーネクタイOK、カジュアルフライデーで軽装可といっても、ハメなど外さず一定のスタイルに落ち着く都会のサラリーマンは、大人のようで実は、他者に与える印象を無意識に計算し中庸を通しているだけかもしれない▼背景には、そういう人を評価しようとの空気があるのだろう▼優等生でまとまりもいいが、突き抜けるパワーが足りない…そんな経営者の社員評を最近よく聞くが、個性を生みにくい現実が、鮮やかに強さを増しているようにも見える。