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3Dプリンタオンパレード、「日本ものづくりワールド2014」より

「金属造形 →大型化の流れ」「樹脂造形 →周辺ソフト充実」

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 去る6月25日から4日間、東京ビッグサイトで開催された「日本ものづくりワールド2014」は、前年より4000名ほど多い8万600余名の来場者で盛況に幕を閉じた。わけてもブームの3Dプリンタ(以下3DP)は国内初披露の輸入機種から国産新製品までが勢揃い、出品メーカーは50~60にも達し、大いに注目を集めた。

●AM、利用しやすく

 ハニカムやラティス構造のカラフルな造形物を壁際に並べたストラタシス・ジャパンのブース。一見し雑貨屋ふうで、パーソナルタイプの新型プリンタもスタイリッシュに作り込み、「造形装置」というより部屋に馴染むグッズか何かのよう。低価格商品からの品揃えで、3DPが個人にも近い存在になったことを今更ながら思い知らせる。
 小型タイプではローランドディージーのオシャレな装置も目に付いた。切削RPと呼ぶ、樹脂・軽金属対応のデスクトップ型切削装置をリニューアルし、新作3DPとデザインを合わせてセットで展示した。「デスクトップモデリングのコンセプトを従来から追ってきた。用途提案を行いたい」とする。
 ムトーエンジニアリングは最近受注活動を始めた新型パーソナル3DPを出品。新製品では造形サイズを大きくし(300mm角)、かつ2色出力にして市場を攻める。「ニーズとなるサポート態勢の強化を含め、日本製の良さをアピールしたい」。
 3DPを「近い存在」にさせるのはデザインや価格、サポート面だけじゃない。前述ストラタシス社のブースでは3DCAD業界の雄、ダッソーシステムズが3DCAD「CATIA」のクラウドシステムを初提案。手短に言えば、高価なCADを購入せずとも、クラウドを利用し必要な時、必要なだけ安価にプリンティング環境を得られるというものだ。「独立系のデザイナーらから高い関心が寄せられています。また産学官での試作研究等では3次元CADの導入が、コストを誰がどう負担するかも含めネックとなることが多く、クラウド環境は大歓迎でしょう。もちろんCATIAによる最高の3Dデータを提供できます」と説明員。
 最近になって、付加製造(アディティブマニュファクチャリング、以下AM)の普及にはインフラ面の整備が必要との声が増えている。この絡みでの注目点はクラウド以外でも多かった。素材となるモデル材やサポート材は一層拡充したし、スキャニング装置なども安価なものからバラエティに増加、会場の方々でみられた。
 3Dデータの容量を超軽量にする編集ソフトの提案(日本ユニシス・エクセリューションズ、アンドール)も目を引いた。同ソフトはCADのデータ容量を90%以上軽量にでき「容量が大きすぎてプリンタが動かない」といった問題を解決する。データ品質との関係も考慮した技術だ。

●大型化を睨む

 精緻な試作や部品製作、金型製作などを視野に入れた本格的プロ仕様とも言うべき、価格で1000万~1億円を超す積層造形装置も見どころは多かった。
 3Dシステムズ(日本法人)は金属パウダーをレーザーで一層ずつ焼結する3DP「ProX200」を国内初公開。同機で造形したマルエージング鋼製のタイヤ金型は「金属密度が99.99%」と説明員が胸を張った。
 愛知産業が先ごろ輸入を開始した独・SLMソリューションズ社の金属積層造形装置も本邦初公開に。最大4つのレーザーで同時焼結し、積層時間を大幅短縮する。3DPが並ぶエリアとは別のホールで展示したが、人垣が絶えなかったあたり関心は高そうだ。同社では金属の専用粉末の取り扱いも強化するなど、全面サポートに努める。
 製造業向けのハイエンドな3DPは「造形物の大型化」がテーマになっていた。3DPはこれまで小物の造形が主。大型造形物ほど残留応力が現れやすく、結果、形状精度を保ちにくい大物加工は困難とされてきた。このハードルを業界は乗り越えようとしている。
 前出のストラタシス・ジャパンは造形サイズ914×609×914mmの大造形プリンタをアピール。シーメットが初披露した光造形装置は、大幅な低価格化を実現しつつ造形エリアを拡大し、奥行きを倍に増やすなどして造形エリアを最大800(D)×600(W)×400(H)mmサイズとした(4面に記事)。会場では一体造形した実寸エンジンブロックのモデルを展示、品質面もアピールした。村上恒雄社長は「10月頃の発売予定、まだ参考出品」としたが、社員らは「今日のこのお披露目を機に売り込んでいく」と気勢を上げた。
 独・EOS社の金属3DPを扱うNTTデータエンジニアリングシステムズは、E社が昨年、ドイツのユーロモールドで発表したハイパワーレーザによる大型造形システムを紹介した。造形領域を200mm角から400mm角に拡大したタイプだ。実機展示はなかったが、造形物の大型オイルセパレータを展示、来年3月をメドに国内でも販売予定という。

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 ユーザーサイドの展示にも見応えがあった。試作や金型鋳造などを手掛けるコイワイ(神奈川県小田原市)は、高額な造形装置を5、6年前から次々導入、現在は高価な金属系だけで各工場に計7台を保有する。ブースではAMの成果を多数のワークで披露した。「もともと当社は鋳物メーカー。(3DPを)鋳物を作る砂型用に利用しながら、様々な工法開発を行っています」という。
 金属系の造形装置メーカーとして国内を代表する松浦機械製作所は、3DPが数年前に比べおよそ倍の売れ行きだとニュアンスで伝えた。投資意欲はユーザーサイドで確実に高まっている。ただ、同社の経営幹部からは「3DPの特徴・課題をよく知った上で導入いただきたい。本当に目的に適う装置であるかどうか、この世界にはまだミスマッチもみられる」の声も漏れた。「当社ではモノづくりを知る工作機械メーカーとして、顧客視点、現実的な視点で提案をはかっていく」という。
(画像:エンジンブロックの樹脂一体造形(シーメット))