コラム

2017年5月25日号

 台湾人のやり手スタッフがキーだね、と十数年前の取材で何度か聞いた。当時GDP2ケタ成長を続け、世界の工場から「世界の市場」へと形容を変えた中国向けビジネスを始める際、台湾人社員の活躍が橋渡し役としてモノを言うとのことだった▼第一の理由は言葉の壁を超えられる。それに現地事情に詳しい向きが多い。しかしそれだけでなく、よく意欲的に働き、押しも強いとの評。かつてのモーレツ社員とダブるとのコメントもあった▼そんな昔の取材を思い出したのは、最近、台湾企業の傘下に入ったある国内大手企業の社員から、ちょっとした話を漏れ聞いたからだ▼台湾から派遣された重役のパワーが凄いという。決して優雅とはいえない社員寮で一般社員と寝食をともにし、朝早くから出社して率先垂範でバリバリ働く。そのせいで周囲のモチベーションも違ってきた…▼なるほど。翻って日本はどうか。今は働き方改革の真っ最中。しかしブラック企業を排除するような方向は歓迎だが、やれ大企業は残業時間を公表しろだのどうのと、行き過ぎの感がないか。企業側にNOと言わせない無言の圧迫を生んでいると感じられることも気になる▼とある産業人は次のように話す。「国土が狭く資源に乏しい日本を成長させた原動力は何だったのか。先進国の一員になって欧米の標準に倣うようになったが、それで本当にやっているのか」▼「コンプライアンスも企業ガバナンスも大事。しかしドメスティックな、日本式スタイルを探るべきだろう」。一考すべきだし、そんな本音がもっと自由に出るべきとも思う。