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ヤマザキマザック、大口製作所をIoT化

セキュリティ対策軸に、リードタイム3割減へ

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 ヤマザキマザックは、愛知県にある大口製作所のスマートファクトリー化を完了させた。投資額は約100億円。最新のIoT・自動化技術を活用した「MAZAK iSMART Factory」として、年内に2015年比で製造リードタイムと仕掛在庫の30%、管理工数の50%削減を目指す。
 MAZAK iSMART Factoryは、工場内のすべての生産活動をデジタルデータ化することで、可視化・分析による改善、基幹システムとの連携、AI技術の応用に発展させるというもの。競合他社との大きな差別化要素として、サイバーセキュリティー対策を挙げている。
 同製作所では、米・シスコシステムズ社と共同開発したネットワーク接続装置「MAZAK SMARTBOX」を計8台設置した。スマートボックスは、製造業向けオープン通信規格「MTConnect」を採用。自社製・他社製やモデルの新旧を問わず、すべての設備機械、周辺装置を確実・安全に接続できるのが特長だ。
 加工機、レーザ機、ロボットなど、30台以上から収集される稼動データ(1日1230万件)を分析。堀部和也ソリューション開発部長が一例として挙げたのは、自動運転中の非切削時間の改善で、時間が長い原因を特定し、対策の実施に結びつける。「切粉排出のために特定の工具交換を繰返し行っていた場合、排出性の良い工具に変更する。これで非切削時間が6%減る」という。
 AI(機械学習)による切削条件の最適化も図る。工作機械に組み込まれた切削条件の可変機能、振動センサ、サーボ制御のフィードバックなどを使って最適化した切削条件をデータベースに蓄積し、ほかの機械や新しい加工プログラムに活用する。「他機と共有することで同一の品質を確保できる」(堀部氏)とした。
 24時間稼動をサポートする周辺装置として、立体自動倉庫、無人搬送車(レーザ誘導方式)、複数の機械で工具の共有・自動交換ができるシステムなどを導入。多関節ロボットを各所に配置し、バリ取り自動洗浄、素材の仕分け、完成品の保管などに活用する。
 人の作業情報も、タブレット端末などのIT機器を使ってデジタルデータ化する。組立エリアでは、顧客情報・記録書・進捗状況などを見られるようにしたほか、トレーサビリティの活用、50インチパネルによる担当機種の進捗状況やスケジュールの確認も可能にした。
 タブレット端末の画面上に、作業手順を3Dモデルによるアニメーションで見せる仕組みも構築。熟練工が入社1~2年目の若手に日常業務を通じて教育する(OJT)のが難しくなっているためで、同じ手順を示すことで品質を確保する。
 山崎智久社長は、「製造ビックデータの分析・生産改善を図った米国ケンタッキー工場はMAZAK iSMART Factoryのプロトタイプ。今後は、国内外のすべての自社工場に展開する。大口製作所は常に進化し続ける工場として、現段階ではシステム連携による分析・最適化を可能にした『フェーズ3』まで来ている。製造リードタイム30%短縮などの目標達成を2018年から前倒しし、年内には達成していきたい」と話した。
 同社のロードマップでは、フェーズ4に熟練工のノウハウのAI化とシステム連携の高度化、フェーズ5にAI・適応制御で自律的に進化し続ける工場、を掲げている。