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最低賃金、アジア各都市で引き上げ続く

中国のベア率が鈍化の兆候、JETRO アジア投資関連コスト比較調査

kanren
 (独)日本貿易振興機構(JETRO)はアジア・オセアニア主要33都市・地域における投資関連コスト比較調査の結果を公表した。同調査は1995年の開始以来、今回で24回目。高い経済成長を背景にアジアの多くの都市で賃金の高騰が続く一方、中国やインドネシアではベア率や最低賃金の上昇幅が鈍化する傾向などもみえた。  

 JETROの調査によると、中国では賃金ベースアップ率が鈍化している模様。2013年10~11月に日系企業対象に行ったJETROのアンケート調査(有効回答数4561社)では、中国における13年度の賃金ベースアップ率は9・2%と12年度調査から1.8ポイント低下した。12年度調査では10%超の都市(中国)が、18市中17市だったのに対し、今回は19市中10市にとどまった。
 社会保険などを含めた年間実負担額(一般工員の場合)でみると、深圳で前年比24.1%増の8143ドル、青島で同20.3%増の6384ドルと2割超の伸びを見せた一方、北京(同4.8%減の8740)と瀋陽(同4.9%減の7482ドル)では一転して減少した。
 なお、ASEANで賃金ベースアップ率が高かったのは、インドネシア(24.7%)、で、ミャンマー(12・8%)、ベトナム(12.1%)と続く(下グラフ)。ASEANのベースアップ率は中国全土平均より高いものの、中国との賃金格差は未だ大きく、投資シフトを促進する大きな要因にもなっている。
 インドネシアの賃金水準は、首都ジャカルタで4383ドル(一般工員レベル/年間実負担額)と、中国の約6割程度。民主化プロセスが進み、経済活動や外国企業の参入が急激に増えているヤンゴン(ミャンマー)では、賃金は高騰しているが、一般工員の年間実負担額は1135ドルと、アジアでも最低水準にある。
 近年2桁台の賃金上昇を維持するハノイ(ベトナム)も、年間実負担額は2792ドルと中国の4割程度の水準。ただ、13年には韓国系企業などの大型投資や工場増設が相次ぎ、人材不足やさらなる賃金上昇圧力の高まりが懸念されている。  南西アジアにおけるベースアップ率は、パキスタン(12.3%)、インド(11.5%)、バングラデシュ(10・4%)の順。パキスタンは高いインフレ率を反映し、近年10%台の上昇率が続いている。インドでもインフレ基調が強いためベースアップ率は高かった。

kane■最低賃金、さらに上昇  
 堅調な経済発展を背景に、最低賃金は各都市で今後も引き上げが続く見込み。中国では、13年も各都市が相次いで法定最低賃金を引き上げた。中国共産党では「2020年に10年比で1人当たりの国民所得を倍増する」との目標を打ち出している。
 ASEAN諸国の中で最低賃金の引き上げが目立ったのはベトナムとカンボジア。ベトナムでは、ハノイ、ホーチミンなどの14年初の最低賃金が128ドルと前年同期比14・9%(現地通貨ベース)上昇した。ベトナム政府は、15年までに最低賃金を147ドル(310万ドン)まで引き上げる目標を掲げる。
 カンボジアでは、13年5月に61ドルから80ドルに引き上げを実施。14年2月にはこれをさらに100ドルに引き上げた。インドネシアでは近年、大幅な最低賃金の上昇が続いたが、14年(年初)の上昇幅は縮小している。特に日系企業の進出が多い西ジャワ州では、14年(同)の上昇率は20%程度。30~60%ほど上昇した13年と比較して落ち着いた。しかし、西ジャワ州での賃金上昇率はジャカルタ特別州の約2倍の水準にあり、企業は引き続き、収益圧迫を懸念している。

■深圳で工業団地が高騰
 不動産関連コストは上昇基調に一服感。中国では、工業団地借料(月額)および事務所賃料(月額)は、上海で15%程度上昇した以外は各都市ともほぼ横ばいだった。一方、工業団地購入価格は深圳で前年比約5倍の1平方メートル当たり771に、上海で4割増の同197~246に上昇した。

 シンガポールの駐在員住宅の借上料は、住宅供給の拡大や外国人就業規制の強化などにより13年第4四半期には約4年ぶりに下落。近年、物件絶対数の不足で高騰が続いたミャンマーの不動産価格相場は高止まり。ヤンゴンでは商業施設の開発が急ピッチで進められており、15~16年頃には価格も落ち着くとの見方もある。 なお、ASEAN各都市の工業団地借料および購入価格は、前年に比べ大きな変化はなかった。