オヤジの喜怒哀愁

2014年8月10日号

ビールの社会学

1347

 
猛暑である。ビールのおいしい季節である。夏を前にした5、6月とビール、発泡酒、第3のビールを合わせた出荷額は2カ月連続で前年割れになっていたが、7月は3カ月ぶりにプラスに転じた。ビールの売り上げは天候に大きく左右されるので、夏前の不振はあまり気温が高くなかったせいかも知れないが、4月の消費増税の影響も考えられるだろう。
 消費増税と値上げラッシュで「実質所得減」という嫌な言葉が幅を利かせるご時世だ。財布の紐が締まるのも無理はない。お父さんのビール代などというものは、ほかの家族から見れば無駄の象徴としてコスト削減リストの上位にリストアップされていることだろう。  相次いで発売されるビールの新製品はどうなのだろう。いわゆる新ジャンルが投入される一方、プレミアム流行りで少し値段の高い高級ビールを各社が競って出している。国税局の指摘を受けて第3のビールから発泡酒に区分替えした「極ゼロ」は再販売後、好調だが、発泡酒全体では7月もマイナスだった。
 新製品を試しに何本か飲んでみたが、総じて香りがあり、フルーティな清涼感があって飲みやすい。ビール離れ、酒離れがいわれる若者をなんとかつなぎ止め、女性市場も開拓したい各社の努力の結果であろう。しかし、オヤジからするとどこか物足りない。新製品登場で市場が混乱し、昔ながらのビール党を失っているのではなかろうか。虻蜂とらず、二兎を追う者一兎を得ずのたとえもある。  さて、夏といえばビール、ことに生ビールである。昼間の暑さに耐え、よく冷えたジョッキに注がれた泡の乗った生ビールをゴクリとやる夏の夕時、人生の苦難はすべて浄化される。  先日立ち寄った店には、なんと、ビールサーバーが各テーブルに設置されていた。ちょっと、お姉さん、などといちいち呼ばずに、自分で好きなだけ自由に生ビールを注げるのである。しかも、普通の生と黒生の2つサーバーがあり、ハーフ&ハーフはもとより六四とか七三とか、自在に調合することができる。何という時代になったのだ。  玉にきずは、セルフのガソリンスタンドさながらに、注いだ量だけミリリットル単位で表示されるメーターが付いていることだ。テーブル下をまさぐりリセットボタンを探したが、そうは問屋が卸さなかった。