オヤジの喜怒哀愁

2014年8月25日号

クロックス、ビーサン、ギョサン

1483

 夏のレジャーの足もとは軽快にきめたいもんだ。近年「クロックス」というサンダルが流行っている。形は神主が履いている靴によく似ている。神主の靴は桐でできているらしいが、クロックスは特殊な合成樹脂で作られていて、人の体温に反応して変形し、足の形にフィットするという。軽くて水場でも滑りにくく、足先はスリッパのように覆われているので足が汚れにくい。覆いには小さな穴がたくさん空いていて蒸れにくい構造だ。アウトドア向けに2002年に米国で開発されて以来、グローバルなヒット商品になっている。
 筆者は長らく夏場は「ビーサン」派である。鼻緒を引っかけるだけなので、なんといっても素足に近い解放感がある。ビーサンは昔からある古典的でシンプルなものが一番いい。最近のものは、色はカラフルだしデザインもいろいろあるけれど、全体的に柔らかく、鼻緒が伸びやすいものが多い。鼻緒が伸びると岩場や斜面で歩きにくい。とはいえ、昔ながらの優れたビーサンを見つけるのは段々難しくなっている。それに、以前、沖縄で見つけた名品でさえ2、3年経つと鼻緒が抜け、底がツルツルになって滑りやすくなる。ということで、今年はコンビニで売っていた「ギョサン」に宗旨替えしてみた。
 「漁業サンダル」「漁協サンダル」、略してギョサンは小笠原諸島独自の呼称で、同諸島が日本に返還された68年ごろから島民の普段履きとして普及し始めた。合成樹脂で鼻緒とソールが一体成形されているため鼻緒は抜けない。素材も硬めだ。鼻緒が伸びにくく抜けないので磯場も歩きやすい。オリジナルは茶色でよく便所のスリッパでお目にかかったものだが、これを単なる実用品としてだけでなくおしゃれアイテムとして全国に発信したのはダイバーたちであった。いまは発光色も含めカラーバリエーションも豊富になった。ちなみに、ビーサンも ギョサンも世界市場をもつ我が日本発のオリジナル商品である。
 なかなかの優れものなので今夏はギョサンを愛用しているのだが、先日、焼き鳥屋の座敷に上がって帰ろうと思ったら履いてきたはずのギョサンが見当たらない。店の人も一緒になって探したが出てこない。どこへ消えたのだろう、と思っているところへ見知らぬ中年オヤジが我が愛用の浅ぎ色のギョサンを履いて便所から出てきた。