連載

2014年9月10日号

24時間稼動し、休まない機械

難加工の自動化で先頭走る
コスミック [タービンブレード加工]
東京都青梅市

 東京都郊外の住宅地。工場を探して行きつ戻りつ道に迷い、やっと古い建物の一角にあるアルミ製の小さな扉をみつけた。この向こうがコスミック(石井敦社長)の現場。外観はお世辞にも立派といえないが、なかでは松浦機械製作所の40パレット付きハイエンド5軸マシニングセンタ(MC)が5台並びフル稼働、町工場のイメージを超える自動連続加工を目の当たりにし、「こりゃ凄いな」と早くも印象が改まる。
 「会社設立が2004年9月。いまちょうど10年目で、9月の連休は11人の社員全員で沖縄記念旅行です。旅行中も40パレットぶんの加工を終えるまでMCは無人で動きます。クーラント液がフィルターにつまるといった不具合があると携帯に自動でメールが来るんですが、旅行中はメールが来ないことを祈るだけですね」。矢田部海工場長が笑顔で言う。5台のMCの毎月の稼動はいずれも24時間×28〜29日ペース。即ち月間670時間前後、メンテナンスを除いて常に稼動する。「大震災の時にストップしたものの、その後の約3年、ずっとこのペースでフル回転」(同)というから、驚きであり、羨ましい。
 仕事はタービンのブレード加工が100%すべて。大手重工業の4つの主要工場と研究所から試作〜量産加工を受託している。ほぼ蒸気タービン向け7割、ガスタービン向け3割というが、それぞれ形状、サイズ、ロット数は様々で、「毎週、何十回とCAMプログラムを組んでいる」(同)そうだ。

■プログラムとノウハウに自信  
 風を受け、ゆがむように膨らんだヨットの帆を想像して欲しい。特殊な難削材で出来た試作品のブレードを見せてもらうと、まさにヨットの帆の形状。厚さ2mm、高さ10cm、少しねじれた細長い三角形をしていた。「荒→仕上げで同時5軸加工しようにも、厚さ2mmでペラペラだからムリです。部分部分で荒加工し仕上げ、また荒から仕上げと繰り返して完成させるんです」と矢田部工場長が少しノウハウに触れた。「それと蒸気タービンが特にやっかいなんですが、単なる公差でなく、幾何公差でクリアーしなければならない。根元の面がずれると先端でズレが何倍にもなるから難しい。現場ではあと5ミクロン詰めろ、などの指示がしょっちゅうですよ」。
 タービンブレード加工に特化してきた経験とノウハウは、加工プログラムの作成にも活きる。「蓄積した過去の形状と加工パスのデータを活用し、一種の標準形を増やしながらフルスピードで作成しています。CAMプログラムの作成時間を短くすることで、受注価格の低下をカバーすることになっています」(同)。
 ちなみにCAMは、マスターキャムを中心に、翼部の切削パスは自動的に5軸パスを生成するハイパーミルを使うパターンが多い。マスターとハイパー、双方「いいとこ取り」のハイブリッドスタイルで機械を動かしているわけだ。

■意図した「連続自動加工」
 連続自動加工に話を戻すと「当初から24時間加工を狙っていた」(同)という。設立時に松浦機械製作所の中古の同時5軸MC(MAM72︱3V)を導入、その3年後に1台、1年後にまた1台と家族が増えるように40面パレット付きMAMシリーズを増やした。この8月にも新規導入しMAMは計5台。中古は最初の一台だけだ。矢田部工場長が言う。
 「横型や4軸MCも保有していましたが、MAMを増やすたびに、他の機械は関連会社へ移しています。工場が狭いためですが、それだけじゃなく、一部の機械が無休で自動加工できても、他の機械がそうでなければ効果は最大化できません。当社はこの連続自動加工をさらに追います」。
 課題はないのか—の質問には、3次元測定機での最終検査に時間がかかることと、11人の社員のうち5名が担当する「バリ取り、磨き工程」の高効率化だと返ってきた。
 「社長は会社をことさら大きくしようとは考えていませんが、磨き工程を拡充することは大事でしょうね。それと5年後くらいをメドに自社工場を建てたいですね」。矢田部工場長は最後さらりと言った。