連載

2017年11月10日号

「エッジ」領域で新コンソーシアム

産業の枠を越え、新連合体

 IoT活用が本格化するにつれ、ネットワークのアーキテクチャ(システム構造)をクラウドからフォグ、あるいはエッジへ移行すべきとの意見が広がっている。この流れに沿って、フォグを、あるいはエッジを推す様々な企業連携、産学連携が誕生。各連携体は「オープン」を強調するが、ユーザーサイドからみれば群雄割拠を見る思いもありそうだ。ただ、将来を見据えた「形」は整ってきた。

 11月6日、都内で「Edgecross(エッジクロス)コンソーシアム」が設立記者会見を行った(=写真)。

 エッジコンピューティングの領域で製造業のIoT化を支援しようとアドバンテック、オムロン、日本電気、日本アイ・ビー・エム、日本オラクル、三菱電機の6社で発起したもの。6社は設立日(11月29日予定)以降、同コンソーシアムの幹事会社として活動する。顧問に東京大学名誉教授・木村文彦氏を据えた。既にIT関連や工作機械、ソフトメーカーなど計51社(発起企業含む)から賛同を得ており、さらに会員・賛同企業を増やしながら企業や産業間の枠を超えて取組み、活用が加速するIoTの付加価値を高めるという。
 記者会見の会場で、最後、キー企業とみられる三菱電機に複数記者から個別の質問が飛び交った。同社は今年3月に「FA−ITのプラットフォームを今秋から運営する」と発表、「運営母体は当社(三菱電機)でなく、別会社、別組織にすることも考えている」旨、幹部が発言していた。その流れが今回のコンソーシアム設立につながっていることは想像に難くなく、同社も否定はしない。
 エッジクロスコンソーシアムではFA(生産現場)とIT(クラウド)の間にエッジコンピューティングによるプラットフォームを設け、FAからの情報をここで一元管理し、必要データのみをクラウドに上げる仕組みを推奨する。そうすることでクラウドに上がる情報量を低減でき、セキュリティの確保や、複雑なシステム(機械や工場がつながればつながるほど複雑化する)の管理も容易になる。各種データを中間のエッジで整理すれば上位レイヤー(経営層やサプライチェーン等のITシステム)とのデータ連携も行いやすい。
 会員はこのプラットフォーム(名称EDGECROSS=エッジクロス)の仕様を固めて普及させ、最終的にはFAとITシステムのシームレスな連携を広くマーケットに提供する。基本となるソフトは、同コンソーシアム自身がマーケットプレイスなどで販売する方針。また肝心のアプリケーション類は「開発キットをオープンに提供予定」(木村名誉教授)というが、会見の翌7日には、早くも三菱電機がエッジクロスに対応する「データ分析・診断ソフト」、システム監視やプロセス制御を行う「SCADAソフト」、「産業用PCのラインアップ」―を開発し来春に発売予定と伝えるなど動きが急だ。
 このエッジに対し、シスコなどが提唱してきた「フォグ」でも、既に「オープンフォグコンソーシアムジャパン」が活動する。ファナックのIoTプラットフォーム「フィールドシステム」もフォグ領域でデータを処理し、同領域に機械学習機能やデープランニング機能を盛り込む構図だ。
 クラウドとデバイスの境界を指す「エッジ」は、クラウド(=雲)よりデバイスに近いことから「フォグ」(霧)と呼ぶシステムよりも、さらにデータソースに近いところで処理を行うと一般的に説明される。今後、エッジかフォグかの議論が進みそうだ。現時点で確かなことは、クラウド集中型から自律分散型のIoTにプレイヤーの軸足が移行しているということだろう。