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今号(11月10日号)より

 今号でベトナムを特集するにあたり、2年ぶりに現地を訪ねた。ハノイ(北部)→ダナン(中部)→ホーチミン(南部)と1日ずつの駆け足での取材となったが、2年の経過による変化をいくつか感じることができた。都市部での自動車の増加(それに伴い渋滞や路駐も増加)やベトナム市場攻略に本腰を入れ現地拠点を開設する日系企業の姿など。定点観測することの意義をあらためて感じた。
 人材確保に悩むのは日本だけではない。従業員の離職をいかに減らすのかも課題の1つだ。取材で訪ねた日系の産業機器メーカーは、中国工場の開設・操業の経験を踏まえ、ダナン工場で従業員のやる気をうまく引き出していた。その工場長は「公平な差別をしようと従業員には言ってます」と朗らかに話す。「公平な差別」とはこうだ。評価の基準を項目ごとに明確にする。それに基づいて一人ひとりを4段階の数字で評価し、結果を工場の壁に誰でも見えるように張り出す。こうすれば、従業員は手当てを増やすのに自分に何が足りないかがわかるし、他人との比較も容易だ。実際、能力を高めてスキルアップする社員(多様な仕事を1人でこなし、人に教える能力も備える「スーパーワーカー」)が3人いた。
 関心したのは、同社はすべての従業員の能力を押しなべて高めようとしているわけではない点。工場長は「スーパーワーカーのように忙しく働きたい人ばかりでなく現状維持で長く働きたい人もいる。人それぞれ事情があることを理解し認めることが離職率を抑えることに繋がる」と言う。公平性と透明性、それに多様性(許容力)は日本企業もぜひ見習うべきではないだろうか。