連載

2017年11月25日号

IoT「様子見」、24%に低下

実践期到来、現場改善に重点

 日本能率協会コンサルティング(JMAC)の調査で、製造業におけるIoTの取組みが「様子見」から「実践」の段階に移ったことが明らかになった。
 JMACでは今年8月、顧客製造業1万4423社を対象にIoT取組み実態に関するWEBアンケート調査を実施し、305件の回答を得た。調査は今回で3年目。「初回調査の時点ではIoTの定義がまだはっきりしていなかった」(JMAC)が、2回目の調査からは(1)「課題解決」(IoTを活用した現場改善、業務改善)、(2)「最適化」(IoTを活用した工場全体最適、スマートファクトリーの実現、サプライチェーン改革)、(3)「価値創造」(IoT時代における事業創造、事業戦略)―の3段階に分けて取組み実態の調査を行った。
 調査によると、全体の活動傾向では「様子見」の比率が24%。昨年度(55%)より大幅に低下し、IoTに関して何らかの活動をしている比率が全体の75%を超えた。業種別では輸送用機器、機械、電気機器の活動比率が9割前後と高く、事業規模が大きくなるほど「価値創造」の段階まで含めた検討をするケースが多くなった。
 IoTの段階別に調査を詳しく見ると、「課題解決」は「既に実行中、現在計画中」の比率が54・8%で、前年度比11.4%増と大きく増加した。この「課題解決」に関しては「検討中」も含めると89・9%が取り組んでいる傾向がみられ、前年度(同81.3%)に比べて着実に取組みが拡大している状況が明らかになった。
 「課題解決」のための取り組みで取得しようとしている情報の対象は「製造設備から」が82・6%と圧倒的多数を占めた。JMACでは「製造設備にはデータ取得の機能が既にあるものが多く、情報取得の難易度が低いため」とみる。
 解決しようとしている課題は、「人や設備の稼働率改善」(81.4%)、「作業の効率改善」(67.7%)、「不良やトラブルの原因追求」(61.7%)と複数課題の解決を狙う傾向もあった。ただ、「課題解決」の成果が得られたとの回答は、全体的に半分以下と低調だった。
 JMACでは「設備のデータのみでアプローチしようとする傾向が強い。課題解決には人のデータなども必要だが、不定型の作業や高頻度の移動など現時点でデータ取得の技術が成熟していない」などの課題を指摘している。

■全体構想やデータ取得などに課題
 2段階目の「最適化」の実行・計画内容については、「現場の生産システムの垂直統合(計画と実績のデータをつないでマネジメントを最適化する)」(61.9%)が最も多く、次いで「ロボティクスなどによる働き方の見直し」(45.4%)。総じて生産部門での取組みが中心だったが、「バリューチェーン・サプライチェーンの見直し」(44.3%)など供給体制の再構築の動きもみられた。
 3段階目の「価値創造」の実行・計画内容としては、顧客の個別要求への対応範囲の拡大やきめ細かな保守など、既存製品に対してのサービスレベルアップを対象とした取り組みが多く、スマートプロダクトの開発やシェアリングエコノミーなど新コンセプトのビジネスモデルを進める企業は少なかった。
 また、IoT関連技術の活用実態では「ロボット」「各種センシング技術」の活用比率がそれぞれ約3割と高く、次いで「3Dプリンティング」の活用も21%だった。AI(人工知能)の活用は7%だったが、「導入検討」(26%)と「予定はないが適用を視野に興味がある」(51%)など最も注目度が高かった。
 JMACではこうした調査内容から、「成果に結びつくIoT全体構想・改革シナリオ」、「改革シナリオを効率的に実現するためのデータ取得とデータ活用」、「IoT技術の見極めと検証」の3つが必要であると提言。JMACのIoT推進企画立案アドバイス「IoT推進サポート倶楽部」や、作業者の位置分析から品質分析まで様々なデータを取得・分析できる「現場IoT7つ道具」の活用を提案した。