コラム

2018年2月25日号

 技術者がまったく冒険しなくなったね、と苦々しく言い放ったのは、技術畑ひと筋でトップに立った某製造業の経営者。実はこの手の話は案外増えているようだ▼やれ自動化だ、IoTだ、AI活用だと周囲の環境がグングン変わり、その対応にチャレンジする動きが盛んだが、一方で従来の技術的な強みを磨き、別発想で伸ばそうという動きが影に隠れてみえにくい▼隠れているだけならいいが、少ししぼんではいないか。IoTが表舞台になって、そこに強烈なスポットライトが集中して、そのかわり周囲が薄闇状態で盛り上がらない▼思えば、ものづくり基盤技術振興基本法ができて来年ではや20年になる。この法律をベースに、中小企業が担う縁の下の「特定基盤技術」を高度化し、日本の競争力向上につなごうとの太い流れが出来た。それを実現する為に「ものづくり補助金」などの施策が毎年打ちだされ今に至っている▼ただ、時代を経て「特定基盤技術を高度化する」との当初の目標は随分変わった。特定技術よりもライン全体の生産性向上や、スマートものづくりの実現を重視する方向。変化を捉え、柔軟に変わっていったのであろうが▼だけど、ソフト的な力がモノをいうと言っても、ソフトがもたらす付加価値は、それを乗せるハードあってのものだろう。「もう成熟してしまい、今後はソフト的な価値づくりが勝負」などと製造現場で聞くと不安になる▼基盤技術が疎かになっているとの声は多い。他方、特定基盤技術で差別化を実現している企業も多い。次世代を追う一方で足下を疎かにできない。