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変わる超硬材加工

「直彫り」環境整う一方、放電で革命

 Print鍛造金型などの材料として用いられる超硬合金の加工がますます効率アップしそうだ。刃物や加工機、工法が改良され、放電加工も大幅に高速化している。  価格や性能の観点からこの分野で最も実用性が高い刃物はダイヤモンドコーティング(DC)のボールエンドミルだろう。日進工具は今年4月、DCボールエンドミルをインターモールドで出品し発売。スパイラルボール形状と剥離を抑えたコーティングが特徴で、「価格と加工物の面品位で競争力がある」と訴える。参考となる切り込み量は0.01mm(ボール半径0.3mmで)で、面粗さRz0.51~1.04ミクロンが出せるという。先行するユニオンツールもコーティングを刷新したDCボールエンドミルを同展で披露。「加工除去体積で従来品より2~3.5倍向上した。0.1mmの切込みが可能でユーザーさんから『超硬材の切りくずがでたよ』と報告を受けた」と話す。もっとも超硬材加工を研究する東京工科大学の福井雅彦名誉教授は「メーカーが推奨する切り込み量は、能率を加味した加工設定を考えるとあまり意味がないのでは」と言うが。

ダイヤ刃物が低価格化  
 超硬材を狙った工具の最大のネックは価格だ。前述の両製品はともに定価で3万円台後半で、業界関係者からは「3千円の刃物を使っているところが3万円のを買うかね。チッピングもあるだろうし、10倍もつのかどうか」と懐疑的な声もある。だが、実売価格は急激に下がっているようだ。超硬材の直彫りを提案する東芝機械は「2、3万円の製品が出回り始めている」と話す。ナノ多結晶ダイヤのボールエンドミルをもつ住友電工ハードメタルは、これまでの受注生産から量産体制に入っており、10月のJIMTOF出展を機に標準在庫品(刃径の異なる3型番)として発売する。当然、価格低下が予想される。

形彫放電60%高速に
 加工スピードと精度で不利とされた形彫放電が革命を起こしている。三菱電機が今春発表した電源制御IDPM(Integrated Discharge Power Master/Intelligent Digital Power Master)だ。銅含浸グラファイト電極にIDPMを用いた場合の最大加工速度は、超硬材の加工に最も向くとされる銅タングステン電極に比べ約60%も向上する。これまでに採用してきた2つの最適化制御とワイヤ放電で用いている制御を融合したもので、高ピーク電流でも電極が消耗しにくい。加えてグラファイト系の電極は切削性がいいので、電極加工でバリ処理が不要というメリットもある。
 同社の試算では電極材料、電極加工、放電加工を加味した総加工コストで同23%削減できるという。IDPMは今春発売した形彫放電加工機の新シリーズに標準搭載された。