コラム

2014年9月25日号

 これは何の絵でしょう—。何気なくテレビをつけたらクイズをやっていた。子供向けだが、大人の鑑賞にも耐えられた。おおよそこうだ。画面にはまず、汗して走るウサギのイラストが映る。少し間を置き、カメラが引いて視界を広げると、このウサギを追うキツネの姿が出てきた。ウサギ危うしというわけか▼カメラはまた視界をひと回り広げた。今度は獰猛な狼が後ろから必死で追う様子が現れた。弱肉強食の連鎖?…。再び間があってついに全景になると、周囲で声援を送る大勢の子供達が登場し、ウサギの前にはゴールのテープがあった▼動物たちは運動会で駈けっこをしていたというオチなのだ。さんざん騙されたあげく、良くできていると感心し笑いもしたが、ここで少々考えることとなった。こうして新聞を作っているが、中途半端に捉えて記事にし、事実と異なる思い込みの情報を流してはいないか▼この夏は日刊紙の「誤報」が世間を騒がせた。事実はこうと推し量り、その不確かさを好都合な材料に包み込んで報じたものが再検証された。一部のライバル紙はここぞとばかり嵩にかかって叩くが、自身への戒めともすべきであろう▼しかし慰安婦報道にしても「誤報」との括りには納得がいかない。この「誤報」もまた、先のクイズのように視界を広げると、絵が出てくる。悲喜善悪の人間模様、まっとうではない思惑の渦巻く様子。スマートにオチをつけたクイズとは逆で、薄闇が濃度を増しながら広がる。