連載

2014年9月25日号

航空機部品加工で驚きの「成果」も

アルミ中心に手のひらサイズ〜4mまで

赤羽製作所[航空機ほか部品加工]

長野県飯田市

 航空宇宙関連の加工に関心を持つ向きは「長野県飯田市」の存在をご存知だろう。この地では航空宇宙産業参入を目指した活動を古くから行ってきた。2006年には共同受注組織「飯田航空宇宙プロジェクト」を立ち上げ、同組織に参加する地元企業が順次、参入条件となる国際規格(AS/JISQ9100等)の認証を取って仕事獲得に動いている。航空宇宙の公的展示会等でも今や「飯田」はほぼ常連になった。
 加えて昨年、地元を代表する製造業者で航空宇宙産業に強い多摩川精機が、熱処理など航空機部品の特殊工程の為の会社を設立。その専門工場がこのほど稼動した関係で、地域全体に航空宇宙の仕事量アップが見込まれている。
 前置きが長くなったが、そんな飯田市の中小製造業で「いま最も航空分野に意欲的に取り組み、実績でもトップを争う」(地元製造業者)とされるのが、赤羽製作所(赤羽徹社長、社員43名)だ。

■大胆な戦略と事業改革
 訪問して意外だったのは「航空宇宙向けの実績はまだ日が浅い」ことだった。航空関連の仕事が増え出したのはこの1、2年。総売上に占める比率も「まだ2割弱」(赤羽徹社長)と、とりわけ高いふうでもない。
 赤羽社長が言う。「リーマンショック後に社内改革を行い、思い切って投資し、まず高速鉄道、次に航空宇宙へ狙いを向けたんです。だからまだこれからですよ」。半導体・液晶関連の部品加工を得意とした同社は、「リーマンショック」までサプライヤー仲間からの加工依頼が引きも切らなかった。「偉そうですが、赤羽の仕事は早いし、ワークの仕上がりが綺麗と言われてきました。自社で量をこなせない時は赤羽に回そう、そういう同業者が地元以外にも山梨とか大阪などに多くあって、それが経営の支えにもなっていたんです」(赤羽社長)。
 しかし国内空洞化が進むなかで「リーマン」を経験し、「こういう形態では先細りする」と判断、変革に取り組んだ。「大手との取引で、安定して長期に仕事ができる事業スタイルに変える必要があった」(同)というのだ。
 有言実行—。社内的には5S活動から始めてJISQ9100を取得。技術的にはそれまでの3軸加工から同時5軸加工へ重点を移行した。受注強化の為に初めて専任営業を置き、ホームページも大胆に刷新した。今では「大物5軸アルミ加工」などで検索上位に出る。  こうした全方位的改革と平行し、大胆な先行投資で大手と直接取引するにふさわしい設備武装をした。かいつまむと、大型工場を建設(2010年)し、一昨年には5面5軸加工機(三菱重工製)や複合旋盤(ヤマザキマザック製)を設備。そして牧野フライスが航空機加工用に作り込んだ大型5軸「MAG3.EX」も入れた。「資金が潤沢? まさか(笑)。設備投資では飯田市の補助事業も含め、サポインやモノづくり補助金など計5つの助成制度を利用しました」(同)。

■加工効率トップ証明
 機密保持の関係から詳細は聞けず・書けずだが、新型航空機の翼内の5軸部品加工では「MAGを使って、加工時間で航空機メーカーの要求を大幅に凌ぐ結果を出せた」そうだ。赤羽社長は「その部品に関せば、ウチが世界一といえる」と胸を張った。
 後発の御社が何故そこまでやれるのか—。そう聞くと「もちろん試行錯誤の連続。大手航空機関連メーカーの技術者らと一年がかりでトライした成果物で、社員の頑張りがあったこそ」と返す。3次元CAM(NXCAMを使用)によるパス生成で、独自の工夫をしたことも効いたようだ。
 来年にはMAGをもう一台追加購入し、航空機分野の本格的な受注拡大に挑む。航空機だけでない。アルミから難削材まで、それも手のひらサイズから4mサイズの大物部品加工までカバーするようになった同社は「なにより社内の技術力を活かせる仕事を取る」(同)とのスタンスだ。
 赤羽社長は最後、ロマンを語るようだがと前置きし次のように言った。
 「なにより飯田の産業発展に貢献したい。その為に事業を拡大して雇用を増やし、また中小同士の更なる提携も視野に入れて、真の共同受注スタイルを作りたい。決して当社がヘッドに立つつもりはない。強さを出し合った総合力として、飯田の受注競争力を高めたい」。革新活動はまだ続くようだ。