オヤジの喜怒哀愁

2018年6月10日号

ツバメの巣

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 ちょうど1年前にも同じテーマで書いた。ツバメのことだ。昨年来、この時季、朝起きて庭に出ると家の前の電線にツバメが1羽、2羽止まっていて、こちらの様子をうかがっている。電線を飛び立ち、家の軒下で急旋回してまた電線に戻る。ツバメが巣作りをする季節なのだ。そして、ついに今年は我が家の軒に巣をかけ始めた。
 その軒の下はこちらがいつもタバコを吸っている場所である。電線に止まっている2羽のツバメはおそらくつがいなのだろう。新居をどこに建てたらいいか、慎重に場所を選んでいる感じだ。いまは受動喫煙の影響について深刻に話し合っているようだった。
 巣からフンが落ちて下の地面を汚すのでちょっと面倒な気もしたが、ツバメの巣はその家に幸運をもたらす吉兆という。こんな場所でよければどうぞ、と一応声をかけておいた。
 建築許可が下りるとツバメは翌日から工事に着工した。まず壁に一筋の泥が塗りつけられた。2羽でせっせと泥を運んではその上に塗り重ねていく。泥には草が混じっている。巣ができる前から軒の下の濡れ縁が汚れるので新聞紙を広げて敷いた。当分の間、喫煙所も移動することにした。

 着工から10日ほどたって巣はほぼ完成したようだった。しかし、気になってのぞくとツバメは居たり居なかったりで、ここで本当に子育てが始まるのかどうか、まだ予断は許さない感じだ。
 あるときはなぜか4羽のツバメが巣の争奪戦を繰り広げていた。巣がほぼ完成したところを見計らって不届きなもう1組のつがいが乗っ取りを図ったものと思われる。すぐに争奪戦は終了しいまは落ち着きを取り戻しているが、残ったつがいがせっせと巣を作った元のつがいなのか、あるいは不届き者の方なのかは見分けがつかない。ただ、正義は勝ったはずだと信じるよりない。
 我が家の動静に詳しい向かいの家のおじさんがツバメが巣をかけたのか、とうらやましそうに言う。聞けば何年か前におじさんの家にも巣を作り始めたのだが、生垣の手入れでうるさくしたら途中で巣作りをやめてしまったそうだ。
 しかし、なんで今年は巣をかけたのだろう。ツバメは人の出入りの多い家に巣をかけるという。最近、我が家で介護生活が始まって以来、訪問ヘルパーさんやデイサービス、ショートステイの送迎の人が昼の間に出入りする機会が増えている。ひょっとするとそんな変化を向かいのおじさんとツバメに観察されていたのかも知れない。