オヤジの喜怒哀愁

2018年6月25日号

イン・ザ・レイン

18040

 梅雨である。雨である。
 今年の梅雨は今のところ気温がそれほど高くないし、湿度もほどほどであまり蒸し暑い感じがしない。むしろ少し肌寒く感じるくらいだ。
 雨が降ると通勤や通学の足下が悪くなる。外で仕事をする人にとってもありがたくないものだ。洗濯物は乾かない。休み明けの月曜日の雨など何となく気が滅入る。たしかに鬱陶しい季節かも知れない。だが、瀟々と降る雨も時には悪くないもんだ。
 軒下に出て雨に濡れる庭の草木やけぶる山の緑を眺めていると、何だか超然とした気分になってくる。空気も雨に浄化されたように新鮮に感じられる。からだの中の何かが喜び、癒されていく。ヒーリング・イン・ザ・レイン…。
 あれは高校1年の時だった。4月には学校が変わり、先生が替わり、クラスの友だちも新しい顔ぶれになった。授業の内容は高度になるし、部活も連日遅い時間までやるようになった。1年生は雑用が多い。先輩や指導者から怒られることもしばしばである。
 いろいろなことがいっぺんに変わり、慣れないことがたくさんあって心身ともに張りつめて、少し疲れていたのだろう。ある朝、目覚めると雨が降っていて、起き上がって出かける気がしなかった。2度寝をして、次に目が覚めるともう学校が始まる時刻である。結局その日は学校に行かず、1日家で過ごした。まあ、なんというか、ズル休みである。
 ベッドに横になって好きな音楽を聴いたり、雑誌や文庫本を読んだり、うつらうつらとまた寝たり、ゴロゴロと過ごした。風はなく、窓の外では雨が静かに瀟々と降っていたのをよく憶えている。普段、学校に行っている時とは異質の時間が雨音とともにゆったり流れていく。ちょうど今と同じ、少し肌寒いくらいの梅雨どきだった。
 ズル休みはクセになって困るのだが人間、時にはガス抜きというものが必要だ。晴耕雨読。雨の日は少し疲れたからだと心をリフレッシュするにはもってこいだ。梅雨が明ければ、またあの暑い夏がやってくるのだから。